2024年12月24日( 火 )

人口減少続く山口県 地銀2行の現状(後)

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2行の経営・財務状況

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 まず預貸金残高の推移を見ていこう。山口銀行の17年3月期の預金残高(含むNCD)は5兆2,029億円(前期比▲3,652億円/▲6.6%)となっている。やはり、昨年1月29日に導入された日銀の「マイナス金利政策」の影響が大きいようだ。貸出金は3兆6,202億円で、前期比+1,384億円。年率+4.0%となっている。

 一方、西京銀行の預金残高(NCDの取り組みはなし)は1兆3,190億円(前期比+1,767億円)で、年率15.5%と大きく増加しているのがわかる。貸出金も、悲願の1兆円台乗せを達成。1兆673億円となり、年率は17.4%と大きく伸ばして善戦しているのが読み取れる。

 次に2行の経営成績について。山口FGの17年3月期の経常収益は、1,635億円(前期比▲19億円)と微減であるが、そのなかで山口銀行は前期比▲82億円と、グループの足を大きく引っ張っているのがわかる。経常利益も前期比▲78億円の269億円。親会社に帰属する当期純利益も▲61億円の185億円と大きく落ち込んでいる。

 一方、西京銀行の17年3月期の経常収益は294億円(前期比+39億円)となり、前期比15.5%と大幅な伸びとなった。経常利益は前期比+8億7,500万円の68億円(+14.6%)。また当期純利益も、前期比+6,000万円(前期比1.5%)の41億円と、増収増益を達成している。

 最後に財政状態について。山口銀行の純資産4,016億円に対して、西京銀行は588億円となっており、規模的には大きな隔たりが見える。また、自己資本比率(Tier1比率)は山口銀行の17.47%に対して、預貸金を大きく増やし総資産が膨らんだ西京銀行は、8.23%(前期比▲0.42%)となっている。

2018年3月期の収益予想

 17年3月期まで増収増益を続けていた西京銀行だったが、18年3月期は減収減益を予想している。また、山口FGのなかで大きく足を引っ張っていた山口銀行は、減収増益予想となっている。山口FGで足を引っ張るのは、広島銀行の攻勢を受けて厳しい、もみじ銀行となりそうだ。

 山口県においては第一地銀の山口銀行と第二地銀の西京銀行、この2行の棲み分けにより、金融秩序は安定しているように見える。だが、はたしていつまでこの状態が続くのだろうか。いずれにせよ、人口の減少にともなう企業の経営規模の縮小が、地方銀行の経営に大きな重しとなってくる。

 今後は、いかにフィンテックに対応可能な顧客サービスの提供ができるかが、山口銀行にとってもまた西京銀行にとっても、今後の大きな経営課題といえそうだ。

(了)
【データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

 

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