法科大学院 破綻する制度
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「国民生活の様々な場面で法曹需要が増大することが予想されています」
文部科学省のウェブサイトで「法科大学院について」というページを見ると、いの一番にこう書かれている。たしかに「法科大学院」の制度が検討されていた当初は、グローバル化などさまざまな理由で法曹資格者は不足すると予想され、それに基づいた制度設計が行われていた。
しかし実際はどうか。ひとつの目安として、裁判所が受理した事件数は大幅に減少しており、弁護士のニーズが極端に増えているとは考えにくい。
また「出口問題」もある。法科大学院修了者の司法試験合格率は2割程度とかなり低いが、旧制度の司法試験はかなりの難関だったイメージがあるためか、これを問題視する声は少なかった。しかし実際には、法科大学院を終了しながら司法試験には合格できない、という「落第組」の就職状況は相当厳しい。法律的知識を本格的に学んだ人材は、日本の一般企業とはマッチしないのだ。法科大学院というキャリアがプラスになるどころか、むしろ4年制大学の卒業生と比べて足かせになる場合すらあるという。仮に医学部や歯学部の卒業生で「医師国家試験に合格しない者」が半数を超えたとすると、彼らの一般職への就職が相当厳しいであろうことは想像に難くない。現在、全国の法科大学院では、募集の停止や大学院自体の廃止が相次いでいる。鳴り物入りで始まった司法制度の改革は、そもそもの人材需給の見通し自体が誤っていたというお粗末な理由で崩壊しようとしている。この間、法科大学院からの司法試験合格を夢見ていた学生たちのジャッジを誤らせた責任は、誰がとるのだろうか。
【深水 央】
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