九州企業の人材定着対策「取り組みなし」20%超え 危機感の薄さが第一の課題か
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既報の通り、新たな人材確保に苦戦を強いられる九州企業。人材不足の状況において人材獲得は重要な課題だが、獲得した人材を定着させることも重要な課題だ。
九州企業では、どのような人材定着の手法を採っているのか。図1は(公財)九州経済調査協会の調査「人材の確保・活用に関するアンケート」(調査期間:2016年10月~11月)による、九州企業の人材の定着促進策を示したもの。
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これによると、「給与の引き上げ」が最も多く、43.2%の企業が実施していることが分かる。次に多いのは「福利厚生の拡充」で、38.2%の企業が実施。一方で「特に取り組んでいない」という企業も22.7%に及び、人材不足に対する対応が後手に回っている、もしくは人材不足への危機感や必要性への認識が薄いことがうかがえる。
九州企業の多くが、給与や待遇改善によって人材不足の改善を図っているが、その有用性はどれだけあるのか。
まず全国的に見ても、給与額は上昇傾向にある。また、多くの企業が同時期に給与を引上げれば、平均的な賃金自体が上がる。加えて、大手企業がより高い給与で人材誘致を行っている。これらから、給与を引き上げただけでは、人材の流出を防ぐことは難しいと言える。人材が定着しない状況は、採用・教育コストの無駄、新たな人材獲得のためのコスト発生、従業員の士気低下を引き起こす。さらに、残った人材への負担が増加し、さらなる人材の流出を招くという悪循環に陥る可能性もある。人材不足により業務が健全に遂行できなくなれば、会社の信用にも関わり、最悪の場合には企業の存続が危ぶまれることとなる。
たとえ「今」人材対策の必要がなくとも、将来的な企業の安定のためには人材定着への対応は必要不可欠。人材定着対策に対する無頓着は、もってのほかだ。【中尾 眞幸】
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