2024年12月23日( 月 )

読者からみた「引揚げ史」

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 「忘却の引揚げ史~泉靖一と二日市保健所」の書評を掲載したところ、多くの読者の方からご自身やご家族の引揚げ体験についてのお手紙をいただいた。何通かご紹介したい。


●Aさん(神奈川県在住・72歳)
 私は1945年4月に今のソウル、当時の京城で生まれ、同年9月に母親と、3歳になる少し前の兄と引揚げてきました。といっても親に話を聞くばかりの身です。「引揚げ」ということに関心があり、下川正晴氏のご著書を読みたく思います。

●Bさん(大分市在住・52歳)
 こんなことが私たちに伝わっていなかったことにびっくりしております。私の伯母も引揚げ者の一人ですが、もっと生きているうちに、聞いておけばよかったと思いました。
 でもこのようなことは、なかなか家族には話せないことかもしれませんね。
 なぜ、教科書にこの事実が載っていないのでしょうか。後世に戦争というものは起こしてはならないと伝えるために、ここを外してはいけないのではないでしょうか?
福岡市に展示コーナーがあるそうですが、行ってみようと思います。

●Cさん(福岡市在住・58歳)
 第二次世界大戦での、日本の加害者としての報道や記述はありますが、被害者側のものは非常に少なく、加害側としての虚偽、誇張、ねつ造があまりにも多く、これが敗戦国の定め、扱いなのかと、国内外の報道を見るにつけ残念でなりません。今回女性の引揚げ史の書籍化により国内および英訳、ハングル訳などが可能であれば、海外での出版もお願いしたいと切に願っております。

 なお本稿筆者の父とその妹も中国・天津で生まれ、昭和19年に日本に引っ越してきた。敗戦時ではないが、広くいえば引揚げ者経験者といえるだろう。皆さんの身近にも、実は引揚げ者だったという方もおられるかもしれない。


【深水 央】

 

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