2024年12月24日( 火 )

2,000億円目前 着実に伸びる電子書籍市場

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 インプレス総合研究所が7月31日に発売した調査レポート「電子書籍ビジネス調査報告書2017」によると、2016年の電子書籍市場規模は1,976億円となり、2,000億円目前まで膨れ上がっていることがわかった。
 一方、紙の雑誌と書籍の市場規模は1兆4,709億円(全国出版協会調べ)。電子書籍との差はおよそ7倍だが、はたしてどう感じられるだろうか。「電子書籍、意外に善戦してるな」と思うか、「もっと多いと思った」と思うか、それはあなたがどれだけデジタル・ネイティブ世代に近いかということにほぼ比例するだろう。

 10年以上電車で通勤・通学をしている人なら、ここ数年で電車内で新聞や雑誌を眺めているサラリーマンや学生が減ったという実感は持っているに違いない。かつてケータイが若者の可処分所得を奪ったという議論があったが、最も大きな要素はケータイやスマートフォンが人々の可処分「時間」を奪ったことである。特にスマートフォンのアプリ市場では、いかに可処分時間を獲得できるかしのぎを削っている。わずかな時間でも遊べるようなゲームが増えていることが、この傾向を裏付けている。結果、電車内で人々の可処分時間を確保しているのはスマートフォンであることは間違いないだろう。

 そのスマートフォンと抜群の相性を発揮しているのが、電子書籍だ。いわゆるガラケー時代からも電子書籍は存在したし、パソコンの画面上で読めるシステムもあった。しかし画面が大きくなったスマートフォンでより読みやすくなり、ユーザビリティが向上したことから、一気にシェアが拡大した。特に、大画面化・画面解像度の向上はマンガの読みやすさにダイレクトにつながっている。さらにスマートフォンならその場で決済して購入することもできるため、より手軽になったといえるだろう。

 また、スマートフォンのアプリが進化したことで、従来ならば電子書籍としてカウントされなかったサービスも登場している。通勤のサラリーマンの手から日経新聞を奪ったのは、SmartNewsなどのニュースアプリや各新聞の有料ネットサービスだ。また、各電子書籍ストアも「月額読み放題」という新しいビジネスモデルをスタートさせている。特にドコモが提供する「dブック」は月額400円で主要なビジネス誌が読めることで、ビジネスマンからの支持を集めている。

 スマートフォンの進化と浸透のスピードを考えると、今後も電子書籍の伸長が続くことはおそらく間違いない。紙と電子が逆転するピークポイントがいつ来るかはまだわからないが、いずれ紙媒体の本は贅沢品となるだろう。現在でもすでに、電子書籍と紙の書籍を用途に応じて読者が選ぶ時代になっている。家で落ち着いて読みたいなら紙、移動中の短い時間に手に取りたいなら電子。大判で美しい外装を楽しみたいなら紙、巻数が多くかさばるなら電子。電子書籍はすでに、紙の書籍と十分比較できる存在になったといえるだろう。

【深水 央】

 

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