2024年11月23日( 土 )

九州地銀の2018年3月期(第1四半期)決算を検証する(4)

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2.預金残高について

 【表1】を見ていただきたい。九州地銀の預金残高順位表であるが、順位の変動は見られなかった。17年6月末の九州地銀18行の総預金は45兆5,240億円。前期から1兆3,140億円増加しているが、その内訳を見ると通常預金が7,046億円(53.6%)。利息の高い譲渡性預金が6,094億円(46.4%)となっており、顧客の金利志向が高くなっているのが分かる。

この表から見えるもの

◆福岡銀行について
・トップは福岡銀行。前期は9兆9,329億円で10兆円に手の届くところまで来ていた。【別表2】の通り、わずか3カ月後の第1四半期、一気に10兆2,341億円(+3,012億円)と10兆円台の仲間入りを果たした。

・【表2】は福岡銀行の預金残高を期別に追っている。17年6月期の総預金のうち、譲渡性預金は5,388億円となっており、10兆円越えを意識した動きが読み取れる。

・【表3】は上位地銀の預金残高順位表である。トップは横浜銀行で13兆1,027億円。次いで千葉銀行12兆1,367億円。3位が福岡銀行だ。福岡銀行は10兆円台銀行となり、さらなる飛躍への手応えを感じているのではないだろうか。

 また西日本シティ銀行が7兆9,877億円(前期比+1,750億円)で6位に入っている。福岡市に本店を構えるこの2行が上位地銀のトップテンに入っており、福岡市は九州だけではなく、まさに西日本の金融センターといえよう。

・【表4】は地銀グループの順位表である。トップはコンコルディアFG。2位はふくおかFG。3位はめぶきFG(常陽銀行・足利銀行)。以下5位山口FG、6位九州FG、7位は西日本FHとなっている。人口の減少に伴う地域経済の縮小が予想されており、九州・中国地区では経営統合によるグループ化が加速することになりそうだ。

◆対照的な譲渡性預金の動き
・トップの福岡銀行は先述したように、10兆円達成のため譲渡性預金が前期比2,472億円と大幅に増加しているが、第2位の西日本シティ銀行は総預金増加額1,750億円に対し、譲渡性預金の増加額は416億円と対照的な動きが見られる。

・同じように九州FGでも、鹿児島銀行の譲渡性預金は前期比+1,133億円。それに対し肥後銀行は▲284億円となっており、金利の高い譲渡性預金は、それぞれの銀行の預金残高の調整弁の役割を果たしているのが分かる。しかし【表1】から見えるように、九州地銀の下位行にとっては顧客の要望があっても、収益を圧迫する譲渡性預金は受け入れたくても受け入れる余裕はないというのが実情のようだ。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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