カードローンに規制~九州地銀(18行)にも大きな影響が(後)
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(1)九州地銀の消費者ローン残高の順位表
【表1】と【表2】を見ていただきたい。九州地銀(18行)の個人ローンの残高表である。この中で問題となっている銀行カードローンに焦点を当てて見ていくことにしたい。
この表から見えるもの
◆ふくおかFG以外の銀行は個人ローンについては消費性ローンと住宅ローンを記載。ただふくおかFGは【表2】の通り、消費性ローンと住宅ローンを記載しているが、差額分の768億円は内訳がないため、消費者ローンへ組み入れている。
◆消費者ローンの中には学資ローン・カーローンなどが含まれているが、ウエイトが高いのはカードローンと推察される。
◆九州地銀の消費者ローン残高は9,865億円。前年比+1,176億円で、年率は15.6%と大幅に増加している。一方ボリュームは圧倒的に大きいが、金利が1%を切る住宅ローンの残高は9兆2,855億円。前年比3,834億円で年率は4.3%。伸び率から分かるように銀行が金利の高いカードローンへ力を入れているのが分かる。
・第1位は福岡銀行で2,209億円。第2位は西日本シティ銀行で2,069億円。この2行だけが2,000億円を超えている。ただ個人ローンの残高では西日本シティ銀行は2兆5,798億円で福岡銀行の2兆1,457億円に対して4,341億円上回っており、個人ローンの取り込みは優勢のようだ。
・年率から見るとトップは西日本シティ銀行の23.7%。次が熊本銀行の20.3%。以下十八銀行16.9%。鹿児島銀行15.0%。佐賀共栄銀行14.8%と続く。それぞれの銀行の収益に対するスタンスが見えてくる数字といえよう。
◆表全体を見ると、後発で設立した北九州銀行と最下位の筑邦銀行を除き、下位の第二地銀は顧客への浸透度が浅く、住宅ローンのみならずカードローンの取り込みも厳しい状況であることが読み取れる。
◆総貸出金に占める個人ローの比率が高いのは長崎銀行で65.8%。次が同じグループの西日本シティ銀行で39.2%。以下熊本銀行36.0%。鹿児島銀行35.1%と続く。
(2) 九州地銀(18行)の県別消費者ローン残高の順位表(単体)
【表3】を見ていただきたい。福岡県が個人ローン残高でトップであり、2位は長崎県。3位は熊本県となっている。
◆十八銀行とふくおかFGとの経営統合は無期延期となった。長崎県において十八銀行と親和銀行が合併すれば、地域金融が独占状態になることが分かる。あまりにも長崎銀行のシェアが低いことが、実質白紙となった要因といえよう。
今後予想される九州地銀の経営統合は、仕切り直しの十八銀行と佐賀銀行、筑邦銀行、宮崎銀行は九州FG。大分銀行と福岡中央銀行はふくおかFG。佐賀共栄銀行・豊和銀行・宮崎太陽銀行・南日本銀行の第二地銀は西日本FHとの経営統合へ進むのではないかと、この表から読み取れるのではないだろうか。
(了)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】※クリックで拡大
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