2024年12月22日( 日 )

元鉄人・衣笠が斬る~広島、ここで踏ん張れるか

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 10月17日、泣いても、笑っても、最後の1試合となった甲子園決戦。DeNA対阪神のクライマックスシリーズファーストステージ3戦目。
 先発投手はDeNAがウイーランド投手、阪神が能見投手と両チーム予定どおりの先発投手だろう。
私の関心は両チームの打線が先発投手をどう攻めるか?何点取ることができるか?特に両投手の序盤に打線がどう攻めるか?ということだ。勢いをつけたほうが乗るのではないだろうかという気持ちが強かった。
 そのとおり、阪神能見投手の立ち上がりをDeNA打線が捕まえて3点を先制。桑原選手が粘って四球、決してこのシリーズ調子がいい選手では無いのだが出塁するのだという意欲に能見投手が根負けしたような形での四球に見えた。そしてこのシリーズ好調の梶谷選手が右前にヒット、少し動揺してきたところをロペス選手が左前ヒット。これも何球もファウルの後のヒットで決して調子がいいからと見えなかったが先制点を取られて迎える筒香選手、攻めきれずに四球を出して満塁、宮崎選手の難しい3塁ゴロを鳥谷選手がホームで刺し、流れが阪神に来るかと思ったのだが、続く嶺井選手の左前ヒットで2点。これが痛かった。

 この後投手が交代して石崎投手、岩崎投手と繋いだが梶谷選手、ロペス選手に打たれてまた3点を取られる。ここで試合の流れがDeNAに完全に向いてしまった。
 阪神も4回裏先頭打者の上本選手が出塁したが、この後の糸井選手がセンターフライ、福留選手がショートライナー。大山選手がライト前ヒットで繋いだが、鳥谷選手がセカンドゴロで3アウト、モノにできなかった。5回裏に植田選手が無死から2塁打を打つが、坂本選手はじめ3人がモノにできず、流れを呼び込めなかった。ここで1点を取っておけばまだ試合の流れがやってきたかもわからないだけに少し悔やまれる。
 全体的にDeNAの選手の方が、CSの第2ステージに行くのだという意欲を強く感じられたシリーズのように感じた。
 昨年広島に負けたことをしっかりと覚えている感じがして、今年もう一度チャレンジするんだという気持ちが前面に出ていたのだろう。阪神の選手はここのところが感じられず、「自分たちは2位なんだ」というところは見えるのですが、前回CSで負けた「悔しさ」があるかどうか。これが両チームの差として出たシリーズだったように思える。

 第2ステージにはDeNAが進出することになった。決まった瞬間に内心困ったな~という思いが少しあった。その思いの原因はこの試合があったからだと思う。

 10月1日横浜球場で行われたDeNA-広島の今季最終戦。ここまで両チームの対戦成績は12勝12敗、勝ったチームが今期ペナントレースの勝ち越しを決められる大事な試合である。
 広島としては他の4球団には勝ち越しを決めているだけに今日の試合を勝ち、全球団に勝ち越して優勝に華を添えたい試合である。
 反対にDeNAからするとペナントレースの優勝はできなかったが、対戦成績では勝ち越してチームに自信をつけたい試合だと思った。
 それだけに広島は何としても今日の試合を勝ち13勝12敗という勝ち越しの数字を残したい試合。どんな気迫を見せてくれるか楽しみにして試合開始を待った。
 ところが試合開始早々岡田投手が2番の梶谷選手に四球を与えてしまい、ロペス選手に左翼に2点本塁打。アッサリと2点を取られて、続く筒香選手に中堅に本塁打、一気にDeNA打線に勢いをつけてしまい、初回4点のビハインドを背負う苦しい試合展開になった。
 ただ広島も2回に西川選手の2塁打を足がかりに2点を取り試合の流れを少し引き戻した。3回にもバティスタ選手がヒット、西川選手がまたまた右翼に2塁打、會澤選手が右翼に本塁打を叩き込み3点、試合をひっくり返した。ただ残念なのがその裏岡田投手が頑張りきれずに筒香選手、宮崎選手にヒットを打たれ、ウイーランド投手に本塁打を打たれて3点を失い7対5とまた試合の主導権をDeNAに握られてしまった。
 ここで広島は4回から中村投手を投入。5回に広島は田中選手の2ランで7対7の同点に追いつく。だけど5回の裏に中村投手がまたまた筒香選手に本塁打、倉本選手にタイムリーで2点を失い9対7という数字になり、試合の流れが遠のいてしまった。結局この試合打線も頑張ったのだが15安打を打たれ13点を取られての敗戦。
 どうしても勝たなければいけない試合だということは十分に意識して戦ったと思うが勝てなかった。この試合が頭に残っていたからCSで戦うときに嫌な思いが残ってしまったと思う。
 そのCS戦、地元で戦うという有利さは十分に感じたが第1戦のヒーローは「雨」かな?5回裏に一気に降り出した雨の中2点を奪いコールドゲームで勝利、試合は5回で終了。

 第2戦前日の勢いで一気に押してしまいたい試合だが出来ない。
 初回新人の濱口投手から田中選手がセンター前ヒット、2番菊池選手がバントを決めて、いつもの先制点に結びつけるはずが、丸選手がどうも本調子でなく初球カーブ、2球目カーブ、共にボールになり3球目ストライクが欲しい場面。間違いなくストレートの配球というところで打ち損じて内野ゴロに終わる。4番の松山選手も初球ストレートを打ち損じて内野ゴロ、いつもと少し違い丸選手は当てい行っているような打ち方で、松山選手はバットの出が遅れているように見えるスイングに見えた。いずれにしてもいつもならアッサリと先制点に結びつけるところが、若い新人投手を乗せる結果になってしまい昨日の勢いを生かすことが出来なかったのが惜しまれる。
 3回に好調なロペス選手、宮崎選手に野村投手が捕まり2点を失ってしまう。4回に1点を返したが、5回にまたまたロペス選手、宮崎選手、高城選手に野村投手が捕まり2点を失い試合の流れがどうしても掴めない。DeNAは6回にも1点を奪い野村投手をマウンドから降ろしてしまった。9回に駄目押しの本塁打を宮崎選手がレフトに叩き込みこの試合はDeNAの試合だという印象を作られたのが残念だった。
 ただ、まだアドバンテージの1勝が効いており広島の2勝1敗という対戦成績で迎えた3戦目この試合で相手に広島の強さを見せることができればこのCSは終わったようなものだと思っていたが、井納投手、ジョンソン投手の投手戦になり、井納投手の好投を見せられ、決勝打を見せられ、広島らしからぬ攻撃を繰り返しての0-1の敗戦。昨年のような勢いを感じることなくここまで来てしまった気がする。

 昨年のチームにはひたすら「自分たちの野球をするのだ、相手も、点差も関係ない、自分たちの目指す野球をするだけだ」という強さを感じたが、今年はそこがどうも難しいらしい。何か構えて試合に臨んでいる感じに見えるのが気になる今年のCSの戦いだが、早く自分たちのチームの野球を思い出して広島らしい野球を見せて欲しいと思う。

2017年10月22日
衣笠 祥雄

 

関連キーワード

関連記事