忘年会シーズン到来である。社内の忘年会もあれば、取引先を招いて盛大に行う忘年会もある。今年を振り返り、1年トラブルや事故なく終えられたこと、また災害対応での苦労、そして来年への期待が主催者から述べられる。
そんな今年の忘年会で印象に残った話をひとつ。
ある建設会社の忘年会の冒頭である。主催者である社長が目頭を熱くしながら、これまでの感謝を述べつつ、バブル崩壊、リーマン・ショックを振り返っていた時だ。当時、同社も思うように受注が伸びず、業績は低迷、資金繰りも厳しさを増していたという。
そんな時に、目上の人から聞かされた言葉があった。
「生命保険には入るな」
すぐには意味がわからなかったが、後で「逃げるな、諦めるな」という意味だとわかった。そのころ、業績悪化で会社をたたむ同業者をたくさん見てきた。なかには、自らの命と引き換えに、保険金を残した者もいた。保険に入れば、苦労から逃げて命を絶つという選択肢が浮上してしまう。それをやめなさいという意味だった。
「当時、生保に加入していたら、今はこの壇上にいなかったかもしれない」と冗談を放ったが、「苦しい時期を我慢してきたからこそ、今があるのだ」と言いたげだった。軌道に乗り始めた2年前、ようやく代表は生命保険に入ったという。
【東城 洋平】
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