上昇傾向の有効求人倍率、企業側は楽観視できず
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福岡労働局は2017年12月28日、2016年度分の職業安定業務年報を発表した。これによると16年度の福岡県の有効求人倍率(季節値)は1.36倍。前年の1.16倍を0.2ポイント上回り、7年度連続上昇となった。
新規求人数(原数値)は年度計48万2,472人で前年度比7.2%増加となった。有効求人数(原数値)も同8.9%増加している。
一方、新規の求職申込件数(原数値)は、年度計24万4,232件で同6.8%減。有効求職者数(原数値)も同7.0%減と前年に引き続いて減少傾向となっている。
職があればすぐ就業できる状態であるにも関わらず、就職先が見つからない求職者の割合を示す「完全失業率」の平均は3.5%で前年の4.1%から0.6%減少となった。求人数の増加傾向に対し、新規求職者は減少傾向にあること、完全失業率の減少などから、同局は16年度の雇用失業情勢について「着実に改善が進んだ」としている。
しかし、職業別に新規有効求人倍率をみると、警察官や消防士、自衛隊などが該当する保安業が5.17倍、新設住宅着工などで需要が高い建設業を含む、建築・採掘業も4.02倍と求職者不足が明らかであるのに対し、事務業は0.68倍と1倍を割る。職業により、求人数とそこに集まる求職者の数に開きが生じている。また、完全失業率も県内では改善傾向にあるとはいえ、全国の年度平均と比較すると0.4ポイント高い。有効求人倍率は高いほど仕事が見つけやすく、就業数増加につながるため、通常は景気に比例すると考えられている。
しかし、現在の有効求人倍率が高さは、本当に好景気によるものといえるのだろうか。経営者や現場の人材不足への悩みは深刻だ。現在の有効求人倍率の高さは求職者の偏りや減少によるものであり、一概に景気改善と見なすことはできないように感じる。今後も数年は続くと見られる求職者優位の人材採用市場。企業だけで対策するには、どうしても限界がある。労働局や国からの対策・支援など、官民一体型の取り組みが求められる。
【中尾 眞幸】
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