子会社の相次ぐ行政処分で業績減~キューサイ(後)
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青汁販売のパイオニアとして知られるキューサイ(株)。昨今は特定保健用食品や機能性表示食品、化粧品などのアイテム拡充のほか、原料生産や受託分析、M&Aなどで事業拡大を進め、株式上場をするまでに成長した。しかし、2010年ごろから業績は下降。昨年2月、子会社の日本サプリメント(株)が景品表示法違反を受け、さらに9月、特定保健用食品(トクホ)の許可を取り消されたことが低迷に拍車をかけている。
景表法違反で措置命令も
また今年2月には、トクホの許可要件を満たさずにトクホと表示していたことから、消費者庁から景品表示法違反による措置命令を受け、6月には総額5,471万円に上る課徴金納付命令を受けた。これを受け、同社は社員向けに「トクホ許可取消に関する役員処分通知」を通達している。その処分内容は同社役員7人のほか、日本サプリメント代表取締役の増田毅氏の減給、日本サプリメントの役員2人が譴責処分というもの。「消費者庁へ調査依頼と販売終了する旨を報告したところ、消費者庁からは弁明の機会を与えられず、トクホ表示許可の取消処分がなされた」「許可取り消しで約10億円の特別損失、トクホ事業の減損損失で約70億円を計上する」と伝えていたが、その数日後には、前社長の藤野孝が代表権のない会長職となり、取締役7人が辞任。新たに元(株)ドクターシーラボで、執行役員通販統括部担当兼通販統括部長の神戸聡氏が社長に就任、副社長には元西日本シティ銀行の佐々木剛司氏が就任した。
同年9月、もともと日本サプリメントの代表取締役として、辞任した他の役員よりも行政処分を受けた対象商品の製造や販売に深く関わっていたことで、内外の関係者から会長職に留まることについて物議が醸されていた藤野氏が会長を辞任。コカ・コーラボトラーズジャパン(株)から島原芳紹氏が専務に、執行役員に松下茂幸がそれぞれ就任した。
業績減、大幅赤字計上
ここ数年の業績を見てみると、売上高は270~280億円台を推移。直近の16年12月期の業績は、売上高は280億円と前年比より微増になったものの、74億5,400万円の赤字を計上。ピーク時は売上高400億円以上だっただけに、厳しい業況が続いている。
背景には通販業界の競争激化が挙げられる。主力の青汁事業は、単品通販のアサヒ緑健などのほか、有力通販のほとんどが主力商品のほかに青汁商品をラインナップ。加えて薬系店舗や量販店も低価格の商品を販売しており、市場自体も飽和化。現状は同社がトップシェアを占めている状況ではない。
そのため、他商品で機能性表示食品にも公表された『ひざサポートコラーゲン』やオールインワン化粧品『コラリッチ』などの化粧品通販が青汁に次ぐ柱を育てているが日本サプリメントの行政処分による影響もあり、同社の信頼は著しく低下。これまで積み上げたリピート顧客の減少につながり、業績に少なからず影響をおよぼしている。同社は神戸新社長の体制となり、「まず社員が幸せでないと、消費者は幸せにならない」と、コンプライアンスの見直しや社内体制の強化を図っているという。今後の施策が注目される。
(了)
【小山 仁】<COMPANY INFORMATION>
代 表:神戸 聡
所在地:福岡市中央区草香江1-7-16
設 立:1965年10月
資本金:3億4,900万円
業 種:健康食品、化粧品の通信販売
売上高:(16/12)280億円法人名
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