2024年11月22日( 金 )

変わりゆく都市・福岡のなかで地域の魅力をどう打ち出すか(前)

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(株)エフ・ジェイ ホテルズ 取締役会長 榎本 重孝 氏

 国際的なブランド力を誇る「グランド ハイアット 福岡」を始め、「ハイアット リージェンシー 福岡」や「フォルツァ」シリーズなど、福岡地所グループにおけるホテル事業を担当している(株)エフ・ジェイ ホテルズ。同社は「福岡・九州をもっと熱く、もっと楽しくしたい」「魅力あるまちづくりと地域づくりに取り組みたい」という福岡地所グループの企業姿勢の下、九州ホテル業界のリーディングカンパニーとしての成長を続けている。今回、エフ・ジェイ ホテルズの取締役会長であり、福岡地所(株)の取締役副会長も務める榎本重孝氏に、話を聞いた。

(聞き手:弊社代表・児玉 直)

続くインバウンド 福岡で何を見せていくか

 ――今、インバウンドによる大勢の外国人旅行者が福岡を訪れています。とくに御社の「グランド ハイアット 福岡」も入る「キャナルシティ博多」は、福岡で最もインバウンドの恩恵を受けられているように思います。

(株)エフ・ジェイ ホテルズ 榎本 重孝 取締役会長

 榎本会長(以下、榎本) これほどまでに海外からのお客さまが福岡に、そのなかでもキャナルに訪れてくれるようになるなど、開業当初は思いもしませんでしたね。キャナルの場合は、今のようなインバウンドブームが訪れるのに先立ち、2012年4月に「ラオックス」がテナントとして入ったことも要因としては大きいと思います。ありがたいことですね。

 ――ラオックスのほかにも、キャナルにはさまざまなテナントが入っていますから、インバウンド客の滞在時間が長いのでしょうね。

 榎本 それだけ施設内をいろいろと、ブラブラ見て回れますからね。ただし、乗降の際にバスをどう停めるかが一番の課題にはなってきます。毎日、夕方4時ごろには、まるで修学旅行生のように大勢が押し寄せていますからね。これについては、近隣に駐車場を借りるなどして対応しています。

 ――今も博多港には、クルーズ船で毎日数千人が福岡に訪れていますしね。

 榎本 本当にすごいですね。ただ、以前は船で訪れる方が大半でしたが、近年は飛行機で福岡を訪れる外国人旅行者の数も増えているように思います。クルーズ船の場合ですと、朝に博多港に着いて、昼間は福岡市内を始め太宰府などを観光で回り、そして夜には再びクルーズ船に乗って福岡を離れてしまいます。つまり、福岡には買い物で訪れるだけで、宿泊することはありません。一方で、飛行機で福岡に訪れる外国人旅行者は、福岡に泊まってくれます。うちの場合ですと、「グランド ハイアット 福岡」に泊まられる方もいらっしゃいますし、ビジネスホテルの「フォルツァ」や、もう少しリーズナブルな「サンライフホテル」など、一定のクラスだけでなく、各クラスともにそれぞれ宿泊客が増えています。こうした現象は面白いと見ています。

 ――今、海外からは、おおよそどのくらいのお客さまがいらっしゃっているのですか。

 榎本 キャナル全体ではわかりませんけれど、「グランド ハイアット 福岡」での外国人宿泊者は全体の30数%になります。うち7割が韓国で、あとは中国や香港、台湾からのお客さまが多いですね。

 ――こうしたインバウンドの状況は、いつまで続くと見られていますか。

 榎本 私見ですが、案外長続きしていくのではないかと思っています。というのも、アベノミクス「3本の矢」といわれる「民間投資を呼び起こす成長戦略」ですが、この実現は難しいと見ているからです。となれば、成長戦略のためには、もうインバウンドしかありません。外国人旅行者がもっと来やすい状況にしてあげるために、通関手続きのスピードアップなども含め、これからもさまざまな手が講じられていくのではないでしょうか。

 ただし、そうした政府の取り組みの一方で、各都市の魅力づくりも欠かすことはできません。たとえば京都などは、世界に誇る観光都市ですし、多くの外国人旅行者が訪れたいと思うだけの魅力を備えています。では、福岡はどうでしょうか。福岡にきた外国人旅行者に何を見せるか、そしてできれば九州内の周遊へとつなげていく―。たとえば、福岡に泊まり、湯布院などの九州内の観光地をめぐり、3日間くらいして帰る。そういった各地の連携や魅力づくりを含めた取り組みを進めていかないといけません。

(つづく)
【文・構成:坂田 憲治】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:清原 邦彦
所在地:福岡市博多区住吉1-2-82
設 立:1978年3月
資本金:9,950万円
売上高:(17/5)約129億7,400万円

<プロフィール>
榎本 重孝(えのもと・しげたか)
1946年生まれ。77年、28歳のときにブラジルに渡り、都市開発に携わる。14年間のブラジル生活を経て帰国。現在は(株)エフ・ジェイ ホテルズ取締役会長のほか、福岡地所(株)取締役副会長など、多くの役職を兼務。福岡の地域経済活性化のために尽力している。

 
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