リニア談合と欠陥マンションに見る鹿島の本性(前)
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(協)建築構造調査機構 代表理事 仲盛 昭二 氏
巨大企業の驕り
リニア新幹線の工事受注における談合に関して、鹿島建設と大成建設の幹部が逮捕されたニュースは、建築・土木関係者にとって衝撃的なニュースだった。巨大ゼネコンの驕りに対して、検察が、いかに本気であるかということが伝わってくる。さらに、この事件に関連し、東京都は、鹿島建設と大成建設を、都の入札に参加できなくなる指名停止とした。すでに契約が成立した工事は無効にならないものの、仮契約である工事については、仮契約を撤回する方針だという。
高度な技術を要求されるリニア新幹線の工事は、スーパーゼネコンでなければ不可能であり、受注調整は必要だという意見も聞かれるが、ゼネコンの幹部が独占禁止法違反という違法行為で逮捕されたということは、今回の受注調整が、法で禁じられている談合に該当するということを明確に示したものである。
現在、私は、福岡県久留米市の「新生マンション花畑西」(鉄骨鉄筋コンクリート造15階建て、1996年1月竣工)という分譲マンションの欠陥をめぐる裁判で、原告側を建築技術面で支援している。このマンションでは、久留米市による建築確認で、設計における単純な偽装が見逃されて建設に至った。施工を請け負ったのはスーパーゼネコンの鹿島建設であり、地場建設会社の栗木工務店に下請させていた。
鹿島建設による施工には、数多くの瑕疵が判明している。「鉄筋に対するコンクリートの被り厚さの不足、あるいは、被り厚がなく鉄筋が露出し腐食」「コンクリートの中性化が異常な早さで進行」「コンクリート内部に大きな木片など多数の異物が混入」「コンクリート内の空隙が多く、鉄筋が完全に外気に晒されている」「大小無数のクラック」など、とてもプロの建設業者の施工と思えないものである。鹿島建設が下請の栗木工務店に対して、損害賠償を請求する訴訟を起こしていたことからも、いかに、ずさんな施工であったかを知ることができる。
施工の瑕疵のなかでも重大なことは、「図面に明記されている重要な梁を、30カ所も施工していない」ということである。1カ所ではなく、各階2カ所×15F=30カ所も施工をしていないという点については、意図的であったと考えざるをえない。
図面に明記された梁を30カ所も施工していない事実を、裁判において指摘された鹿島建設は、梁を施工していないことを認めたうえで、「必要ないから梁を施工していない。何が悪い!」と開き直ったのである。
建築確認を受けた図面通りに施工をすることは、ゼネコンとして、最低限はたすべき義務である。設計変更が必要な場合には、適切な変更手続きを経なければならない。適切な変更手続きを経ずに、図面に明記された重要な梁を30カ所も施工しないということは、悪質な手抜き以外の何物でもない。
(つづく)
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