「奄美の英雄」、パワハラ問題で揺れる栄和人氏の素顔
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女子レスリング・伊調馨選手に対するパワハラ疑惑で休養中の、栄和人・日本レスリング協会強化本部長。五輪4連覇、国民栄誉賞も授与された選手の告発は、伊調選手の従兄弟や至学館大学学長も巻き込んだ一大スキャンダルに発展している。
栄本部長は奄美大島の旧大島郡笠利町(現在は奄美市)の出身で、実家は商店を営んでいる。幼少時から、奄美で盛んな相撲と柔道に親しみ、持ち前の足腰の強さで頭角を現した。その噂を聞きつけたレスリングの強豪・鹿児島商工高校(現:樟南高校)にスカウトされて、15歳で海を渡る。
親元を離れてからは、ストグレ魂(島言葉:なにくそ魂)でレスリングに打ち込み、日体大に進学して2年生時に大学選手権優勝。ソウル五輪(1988年)に出場するものの、メダルには届かなかった。栄本部長は選手としてよりもむしろ、吉田沙保里選手らを育てた「金メダル虎の穴」の名伯楽として全国的な知名度を得ていた。栄本部長の甥で、自身も沖縄の高校でレスリング部に所属した大瀬将史さん(37)は、栄本部長のことを「高校時代は何度も電話をもらって励ましてもらいました。競技のことや私生活のことなど、親身になってくれた、とても思いやりのある方」と振り返る。奄美市の実家で暮らす栄本部長の90歳の母親は、騒動が始まったころに2日間寝込んでしまったほど息子のことを心配しているという。
昨年10月、栄本部長がNHKの取材班を連れて帰省した際に、「早く結婚しろ」と声をかけられた大瀬さんは、「何があっても親戚は味方」と話す。「もし、なにか落ち度があったのなら謝ればいい。いつ帰ってきても温かく迎えます」(大瀬さん)。
奄美の人間は口下手が多く、言葉の壁もあって本土の人間とうまく意思疎通できないことも多い。体調を崩して公の場から遠ざかっている栄本部長も、懐かしい島言葉で話せれば誤解を解くことができるのかもしれない。キバリンショーレ、和人アニ!
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