「脊振の自然に魅せられて」 『ヒトリシズカ』一人静 センリョウ科
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植物の名前には人や動物をイメージしたものが多々あります。
ヒトリシズカもその1つで、義経がこよなく愛した静御前に由来しています。
ヒトリシズカは4月初め~4月末ごろに開花します。木漏れ日を好み直射日光の当たる場所では見かけることが少ない花です。
背丈は5cmから15cmぐらい、光沢のある4枚の葉をトランプのクローバー状に輪生させており葉脈には幾筋も脈があります。
そこから5cmくらいの1本の穂先を出し、白いたくさんのヒゲ状の花を咲かせています。名前のように1人で咲いていることは少なく10本、20本で群生しています。
山道を歩いていると、時々1本、2本の小さな赤ちゃんヒトリシズカと出会うことがあります。ほかの植物のなかで健気に咲き誇っています。最近、この花を見かけることが少なくなりました。群生しているので見つけられると、ごっそり盗掘にあっていると思われます。
花が咲き終わると葉を大きく成長させます。そこに花の生命が終わった花のヒゲが葉のうえに舞い散っています。もう見ごろは終わりましたよと伝えているようです。
ヒトリシズカは穂先が1本ですが、穂先から2本の小さな豆粒をいくつもつけた花を咲かせるフタリシズカがあります。ヒトリシズカより、やや大きな植物で葉は4枚輪生し、光沢がなく柔らかく葉脈の皺も目立ちません。こちらは1本、2本で咲いていることが多いです。広島の山で1度だけ群生しているのを見かけました。脊振の山では数が少ないようで、毎年、出会うことがありません。ヒトリシズカは茶花として使われています。着物姿の静御前がそこに佇んでいるように私には思えます、気品のある花です。
2018年5月2日
池田 友行 記関連キーワード
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