眼前に広がる別世界に没頭 宝塚歌劇団・花組博多座公演
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舞台上で繰り広げられる物語に心奪われ、はるかな別世界に魂を導かれる――。
日本最高峰の演劇体験が、博多座で楽しめる。宝塚歌劇団・花組の博多座公演「万葉ロマン『あかねさす紫の花』」「レビュー・ファンタスティーク『Sante!!』~最高級ワインをあなたに~」は、5月4日~26日のスケジュールで上演中。
「あかねさす紫の花」は、1976年の初演以来さまざまなキャストで再演が重ねられている名作。大化の改新を舞台に、天才的な政治家であり権力者である中大兄皇子(鳳月杏)と、その弟で直情径行ながら兄への尊敬に満ちた大海人皇子(明日海りお)、そして自由奔放な少女から万葉期を代表する歌人へと成長する額田王(仙名彩世)の3人の恋慕が入り乱れる愛憎劇だ。
少年時代に出会い、思いを育んだ末に夫婦となった大海人皇子と額田王。額田王の姉・鏡女王を娶っていた中大兄皇子だが、美しく成長した額田王に目をつけ、弟の手から彼女を奪い去る―。尊敬する兄に愛する妻を奪われ、怒りと絶望からやつれていく大海人皇子。クライマックスの剣舞シーンを、鬼気迫るたたずまいで演じきった明日海りおに、満員の観客は息をのんだ。レビュー「Sante!!」は、一転して「ワインを飲んで見たさまざまな夢」をテーマにしたパフォーマンス。「Sante」とは、フランス語で「乾杯!」や「あなたの健康に祝福を!」という意味を持つ言葉だ。総勢40名の出演者が、キリっとして清涼な白ワインの香気、ヘヴィで深みのある赤ワインの豊潤、軽快で華やかなシャンパーニュの涼やかさを、さまざまな曲調やダンスに乗せてゴージャスに表現。全24場のステージが流れるように演じられ、目を離す一瞬の隙もなかった。「あかねさす紫の花」でシリアスな演技を見せたタカラジェンヌたちが、目にも鮮やかな衣装に身を包んで繰り広げるダンスと歌は、まるで汲めども尽きぬ酒泉のように観客を酔わせた。
なお、博多座公演の前売り券はすべて完売。ライブビューイングの情報についてはコチラをチェック。
【深水 央】
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