「タックルというプレーに対する冒涜」日大アメフト部・悪質タックル問題
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前方へ送ったパスを味方レシーバーが弾くのを確認し、天を仰ぐ関西学院大学QB。その後ろから、全速力で走り込んできた日本大学DLが下半身に強烈なタックルを見舞い、関学QBは膝からピッチに叩きつけられた。
それぞれ大学アメフトでは名門として知られる、日本大学と関西学院大学。5月6日に行われた両校の定期戦で起こった常識外のラフプレーが、スポーツ庁まで巻き込んで物議を呼んでいる。悪質タックルを受けた関学QBは全治3週間の負傷、ひざから下にはしびれが残っているという。「動画を見て、強い憤りを感じました。あれは『タックル』というプレー自体に対する冒涜です」というのは、実業団ラグビーの名門・伊勢丹でプレー経験のある大学ラグビー関係者A氏。
「あれは絶対にやってはいけないプレーです。ラグビーでも相手プレーヤーの後ろからタックルに行くシーンはありますが、相手がボールをもち、タックルに備えているのが前提」。
ラグビーでもボールを受ける前のタックルはアーリータックル、ボールを手放した後のタックルはレイトタックルとしてそれぞれ反則だが、アメフトではパスを投げた後のQBにタックルを仕掛けるのは重大な反則。それは今回の件でもわかるように、パスを投げた後のQBはプレーに関与せず、無防備な状態にあるからだ。
「あのタックルがどれくらいの衝撃かというと、無防備で棒立ちの人間に、背後から軽自動車が突っ込んできたようなもの。生死にかかわることもある、危険な行為です」と憤りが収まらないA氏。日大との試合をボイコットする動きが広がっている。東京大学、法政大学、立教大学は、予定されていた日大との試合中止を決めた。というのも、加害者側にあたる日大がホームページに「多大な御迷惑と御心配をおかけしましたことを深くお詫び」する、という簡単な文章を発表したきりで、最も責任を取るべき内田正人監督が雲隠れしているからだ。
内田正人監督が故意に悪質タックルを指示したという報道について、前出A氏は「もし監督から指示が出ていたなら、指導者としてよりも人間として大きな問題がある。日大フェニックスの廃部も視野に入ってくる」と、一選手の進退にとどまらない問題になると警鐘を鳴らした。
【深水 央】
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