2024年11月21日( 木 )

九州トラック運送の雄、アジアをにらみ多角化に挑戦(前)

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(株) 博運社

運送と保管の両輪で飛躍

 「物流は国民の生活に欠かせないインフラ。経済がどんなに変化しても決してなくならない」と(株)博運社の眞鍋和弘社長は力を込める。

 「ただ、少子高齢化で市場は伸びない。物流だけに依存していては企業として成長できない。新しい事業の柱をつくり出していきたい」と抱負を話す。視線の先にあるのは、国内だけでなく海外、とりわけアジアだ。

 博運社は売上高106億円、トラック約460台を保有する九州を代表するトラック運送会社。眞鍋社長の父、故眞鍋庸人氏が1957年に設立し、運送と保管を組み合わせた両輪経営で業績を飛躍的に伸ばした。社名は「博愛の心をもって幸せを運ぶことを使命とする」との創業の経営理念から採ったもの。現在、営業ネットワークは関西から九州一円にまたがり、保管用の倉庫の総床面積は4万4,000坪(約14万6,500m2)と九州最大規模を誇る。91年に九州自動車道・鳥栖ジャンクション近くに建設した福岡南流通センター(現・小郡営業所)は延べ床面積1万坪超で、コンピュータで貨物を管理し、値札付けなどの流通加工業務も行う当時では最先端を走る物流施設だった。

医薬品輸送で九州8割シェア

 2013年、実兄の眞鍋博俊氏(現・代表取締役会長、福岡県トラック協会会長)に代わって就任した和弘社長が打ち出したのが「既存経営資源の有効活用と内部充実」だ。

 博運社の事業の柱は「医薬品」「住宅関連設備」「日用雑貨」「食品」の4つ。これらの分野を深掘りし、シェアをさらに伸ばす。医薬品は同社が最も強い分野で、国内の主だった医薬品メーカーのほとんどと取引がある。輸送中のわずかな温度変化も見逃さない徹底した品質管理で荷主のメーカーから高い信頼を勝ち得ている。輸送量は全国でも五指に入り、九州では8割のシェアを占める。

 輸送品質と並ぶシェア拡大の武器は志免町の本社敷地内に建設した大型医薬品倉庫。九州の同業者が大阪の医薬品メーカーから長距離輸送していたのを同社との共同輸送に切り替え、志免町の医薬品倉庫に運んだ後、それぞれが着荷主に配達するようにした。同業者も効率の悪かった長距離輸送がなくなり、同社も輸送量が増え、結果としてシェア拡大につながった。

 住宅関連設備の主な事業として、本社近くの粕屋町にある大型ターミナルで入出荷から保管、加工業務を請け負う。ここで培ったノウハウを生かし、建材店や工務店向けに共同配送も行っている。「パワー便」の名称で中小の運送会社が扱いたがらない長尺物の配送も始めた。

 堅調な医薬、建材に比べ、雑貨と食品は伸び悩んでいるという。テコ入れへ戦略を練っているところだ。

(つづく)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:眞鍋 和弘
所在地:福岡県糟屋郡志免町別府北3-4-1
設 立:1957年1月
資本金:8,918万1,300円
TEL:092-621-8831
URL:http://www.hus.co.jp

<プロフィール>
眞鍋 和弘(まなべ・かずひろ)
 1960年5月29日福岡市生まれ。中央大学理工学部中退。85年6月、博運社に入り、92年に取締役、2007年に専務を経て14年2月に代表取締役社長に就任。

 
(後)

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