今年も近づく山笠の季節 太閤町割以来の伝統が息づく(中)
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今年もいよいよ山笠のシーズンが近づいてきた。7月1日のお汐井取りから追い山までの15日間、博多の街が熱く盛り上がる博多祇園山笠。2016年にはユネスコ無形文化遺産に登録され、全国のみならず国際的な注目も高まった山笠。博多祇園山笠振興会・広報担当の正木研次さんに、今年の見どころや山笠の魅力について聞いた。
(聞き手:弊社代表取締役・児玉 直)
――それぞれの流で、参加者はどれくらいになるでしょうか。
正木 うちの土居流では、1,000人ほどになると思います。これは、曜日によっても違います。今回は連休中の日曜日ですから、かなり増えるはずですよ。
1tの山を26人で舁いて、30分で5km走ります。肩には相当重さがかかりコブができます。舁き手は次から次へと入れ替わりますが、それには相当の訓練が必要です。最初は後押しから入ってコツをつかんで、次は見送りの棒を舁き、そしてようやく表の一番棒(最も外側)や二番棒(外から内側に二番目)を舁くようになります。表の三番棒(中央部)は難しいですね。ここを舁けるようになるには、10年くらいは必要でしょうか。ただ背丈によっては舁ける場所が限られますが・・・。――山笠を舁ける資格というのはあるのでしょうか。
正木 資格はありません。でも、地元の町内から承諾されないと山笠には出られません。まず町内の人からの推薦が必要で、誓約書を書き、法被を買ってもらいます。この法被も、買えるお店が決まっています。これで山笠に参加することができるようになります。推薦した町内の人が親元というかたちになり、仮に推薦された人が誰かに迷惑をかけたりした場合は、本人と一緒に謝りにいかなければいけない、身元引受人のようなものです。
期限はいつまでに、ということもありません。法被の準備などが整えば、追い山の前日にでも参加することは可能です。もちろん、推薦できるほどよく知っている相手である、というのは当然ですけどね。――博多において山笠はどういう役割を担っていると考えておられますか。
正木 福博の中軸だと思います。豊臣秀吉が行った太閤町割の伝統を引き継ぐ「流」で行われている行事は、今は松囃子と山笠だけです。今の福岡市は、博多の町人文化と福岡の武士文化がうまく区分けされ、それぞれの役割をはたしています。博多側には本州への玄関口であるJRの博多駅があり、福岡側には筑後方面への窓口である西鉄福岡(天神)駅があります。これも役割分担ですよね。博多には古くからの商人町があり、天神には戦後新天町を始めとした商業地域ができてきました。お互い影響し合いながら、点ではなく面としての福博の商業が発展してきたと思います。
(つづく)
【文・構成:深水 央】関連キーワード
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