九州地銀(18行)の18年3月期決算を検証する(7)
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九州地銀(18行)の財政状態について 【表1】を見ていただきたい。
(1)フィナンシャルグループ(FG・FH)について
<この表から見えるもの>
◆純資産残高1位はふくおかFGで前期比669億円の7,789億円。総資産は前期比+2兆506億円の20兆1,636億円。
・当期純利益は前期▲543億円だったため、前期比+1,036億円の493億円。19年3月期の通期予想は520億円(前期比+27億円)となっている。
・自己資本比率は前期の8.80%から+0.61%増加して9.41%。
◆2位は九州FGで前期比+185億円の6,335億円。総資産は前期比+4,455億円の10兆840億円となり、初めて10兆円を超えた。
・当期純利益は前期比+47億円の193億円。19年3月期も228億円(前期比+35億円)と増益予想となっている。
・自己資本比率は前期の12.38%から▲0.61%の11.77%となり、12%を割った。2016年4月に発生した熊本地震の影響で貸出金が大幅に増加したことによる。
◆3位は西日本FHで前期比+232億円の5,348億円。総資産は前期比+4,752億円の9兆9,616億円。10兆円超えは19年3月期第1四半期で超えているものと見られる。
・当期純利益は前期比▲8億円の214億円。19年3月期の予想は220億円(前期比+6億円)となっているが、17/3月期の実績222億円を下回っている。収益は厳しくなってきているようだ。<まとめ>
◆フィナンシャルグループの純資産合計は1兆9,472億円。ふくおかFGの比率は40.0%。九州FGは32.5%。西日本FHは27.5%となっている。どのグループも九州地銀の金融再編のために、次の一手を打つ余裕はあるようだ。
◆フィナンシャルグループの総資産合計は40兆2,092億円。ふくおかFGの比率は50.1%。九州FGは25.1%で、西日本FHは24.8%。ふくおかFGが50%を超えて1強2弱となっている。もし十八銀行との経営統合が認められることになれば、ふくおかFGが圧倒的な力をもつことになる。この体制を打破するには主体的に経営統合を進めていくしか道はないようだ。
◆フィナンシャルグループの18年3月期の当期純利益合計は900億円。ふくおかFGの493億円(54.8%)に対して、九州FGは193億円(21.4%)。西日本FHは214億円(23.8%)。
・19年3月期の当期純利益予想合計は968億円。ふくおかFGは520億円(53.7%)。九州FGは228億円(23.6%)。西日本FHは220億円(22.7%)。ふくおかFGのシェアはやや下落し、九州FGが西日本FHを上回る予想となっている。フィナンシャルグループ同士の競争も熾烈になっているようだ。(2)九州地銀(18行)の当期純利益(19/3月期)予想順位表 【表2】を見ていただきたい。
~この表から見えるもの~
◆1位の福岡銀行は前期比+75億円の479億円を予想している。しかし2位の西日本シティ銀
行は前期比▲131億円の185億円と大幅な減益を予想している。
◆西日本シティ銀行に続き佐賀銀行も前期比▲39億円の27億円。ふくおかFG傘下の親和銀
行も前期比▲34億円の50億円。同じ長崎県を地盤とする十八銀行も前期比▲11億円の40億
円。また長崎銀行も前期比▲3.8億円の1.7億円の予想となっている。<まとめ>
九州地銀18行のうち、19/3月期の当期純利益が増加すると予想する銀行は5行。減益予想の銀行は13行となっている。日銀のマイナス金利政策の影響が大きいことが読み取れる。はたして予想収益を上回ることができるのか。それとも下回るのか。来月発表される第1四半期決算がその成否を占う試金石となりそうだ。(了)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】
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