平和で豊かな世界の実現を~ヤッファ・ベンアリ駐日イスラエル大使に聞く(3)
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直行便就航の実現を目指す
浜田 ところで、大使のご趣味は何ですか。
ベンアリ 大きな声で言いますが、それは「仕事」です。日本の方々とのもう1つの共通点かもしれません。仕事に向き合っている時が一番幸せを感じるのです。生きがい、やりがいだと思います。外交官という職業が天職に思えてなりません。多くの世界の人々との相互理解を増進するために、新たなアイデアを考え、協力して共通のゴールに向かって努力している時が最高の幸せです。たとえば、ベオグラードに勤務していた時、イスラエルから歌手を招いてコンサートを企画しました。さまざまな困難はありましたが、音楽を通じての文化芸術交流の醍醐味を多くの人々に届けることができたと満足しています。その経験を生かし、上海万博でもイスラエル館ではイスラエルから大勢の演奏家や歌い手にきてもらい、来場者の皆さまとの出会いの場を提供することができました。
浜田 万博やオリンピック・パラリンピックはまさに「文化交流」「市民外交」の場でもありますからね。経済効果も期待できますし。
ベンアリ その通りです。上海万博の時のイスラエル館はデザインがユニークで、とても人気を博したんですよ。その結果、なんと中国企業が購入してくれました。地方都市に移転し、イスラエルの文化や先端技術を紹介する施設として活用してくれるそうです。中国企業はほかにもオーストラリアやトルコのパビリオンも買い取っていました。
浜田 そうでしたか。中国政府はなかなかしたたかな万博外交を展開していますね。
ベンアリ 同感です。中国はイスラエルとの間でもさまざまな合弁事業を推進しています。経済、教育、医療、安全保障など多様な分野で交流が加速する一方ですね。両国の良好な経済協力を推進する一翼を担えたことを誇りに思っています。これからは、日本との間で経済、文化、ハイテク、サイバーセキュリティーといった分野で関係強化に向けての挑戦に取り組む覚悟です。
浜田 頼もしいですね。まず取り組もうとされている分野は何ですか。
ベンアリ 日本とイスラエルを結ぶ、直行便の開設ですね。これだけ両国の経済交流のポテンシャルがあるわけですから、何としても人的往来を一層加速するうえでも直行便の就航は欠かせないと思います。現在、全日空との間で協議を進めている状況です。テーブルのうえにも全日空のプラモデルが飾ってあります。年内の実現に向けて働きかけていく所存です。
浜田 私も何度かイスラエルを訪問しましたが、北回りにしろ南回りにしろ、結構乗り継ぎの待ち時間があり、難儀をしました。とはいえ、経由地のトルコのイスタンブールで待ち時間を利用して市内観光を楽しむこともできましたので、意外なメリットも感じたものです。
ベンアリ そうでしたか。現在、日本からイスラエルに行くにはドイツ経由とトルコ経由が多いですね。トルコ経由の場合、週17便飛んでいます。韓国や中国からは直行便がありますので、日本との間で直行便がないのは非常に残念ですね。香港やインドとも直行便でつながっているんですよ。安倍首相とナタニエフ首相の間でも首脳外交が重ねられています。日本企業も相次いでイスラエルに進出中です。
(つづく)
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