2024年11月25日( 月 )

平和で豊かな世界の実現を~ヤッファ・ベンアリ駐日イスラエル大使に聞く(5)

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相互理解のチャンネルを増やす

 浜田 日本が外国の若者を引き付ける魅力の1つは、アニメでしょう。武士道も大きな財産ですが、アニメにはかなわないようです。日本発のアニメの影響で、日本の文化や歴史に興味をもつようになる海外の若者は急増しています。イスラエルでもそうではありませんか。

▲駐日イスラエル大使
 ヤッファ・ベンアリ氏

 ベンアリ そのようです。イスラエルには多くの日本アニメのファンがいます。80年代にはポケモンが大人気でした。スポーツ漫画を通じて、柔道、剣道、空手など日本の武道に関心をもつようになったイスラエル人も多いと思います。また、日本食もそうです。寿司屋さんの数の多さではテルアビブは世界一でしょう。もちろん、東京の次ですが・・・。

 浜田 そうですね。私もテルアビブの寿司屋さんで食事をしましたが、いずれも大賑わいでした。地中海に面しているお国柄でしょうが、寿司ネタも新鮮で日本酒も人気を呼んでいることを知り、嬉しい驚きでした。ユダヤ教には食事に関して厳しい規律があるようですが、和食とは相性が良さそうですね。

 ベンアリ その通りなんです! 日本人とユダヤ人の間には食文化を始め、共通する相互理解のチャンネルがいくつもあります。価値観でも似通っていますね。ユダヤ教の教えのなかで、私が最も日本的だと感じているのは「友を自分と同じように愛せよ」という点です。ユダヤの教えでは「自分の価値観を他人に押し付けない」ことを大切にしています。これこそが世界を放浪したユダヤ人が、行く先々で生き延びた極意だといえるでしょう。

 2000年を越える歴史を経て、今でも我々はユダヤの教えに従い、世界との共存共栄を模索しているのです。また、「未来を信じて生きる」という教えも我々の信条にほかなりません。世界には多くの民族や宗教、文化の違いがあります。当然のことながら、考え方や生き方も多様です。そうした違いを多様性として受け入れ、協力する心で課題を克服する道を選ばねばなりません。地政学的にイスラエルの置かれている環境は厳しいものですが、そうであればあるほど、「敵も味方も愛する」という気持ちを失わないように、平和外交を追求していきます。

 日本の皆さまとも心を通わせ、平和で豊かな世界を目指していきます。今年はイスラエル建国70年ということで、日本でもイスラエルでも経済、文化交流のイベントをいくつも準備しています。ぜひ、ご参加ください。お待ちしています。

 浜田 ありがとうございます。失敗を恐れぬスタートアップ起業家精神こそイスラエルの躍進の源泉であることがよく理解できました。ベンアリ大使のますますのご活躍を祈念します。

(了)

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