産廃処分場乗っ取り計画に黄信号 進まぬ事業譲渡~和幸商会
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福岡市博多区の金隈産廃処分場の経営権をめぐり、一部の役員らが結託し、取締役の辞任や増資のための法的手続きを偽装していた事件で、乗っ取りの最終計画に黄信号が灯っている。8月中旬から処分場を一時休業し、その間、別会社に事業を引き継がせるという当初の計画(「乗っ取り事件発覚の産廃会社、事業譲渡へ」)が進んでいないことがわかったのだ。処分場の土地所有者からの承諾が降りないことが、その背景にある。
乗っ取り完了目前で
金隈産廃処分場(福岡市博多区)を運営する(株)和幸商会(本社:福岡市博多区、箭内伊和男代表)の事業を引き継ぐとみられていたのは、今年1月に設立された(株)大和(本社:福岡市博多区)。同社代表は一連の乗っ取りの首謀者である柏田清光氏で、多額の負債は和幸商会に残したまま、事業だけを大和に譲渡するものとみられていた。
株主は一連の乗っ取り行為に対し、増資の無効や取締役の職務停止などの裁判を起こしているものの、ここまでは、ほとんど柏田氏が描いたシナリオ通りに進んできた。残された事業譲渡を完了させれば、経営権を握ることができる。将来的には処分場を拡張させて、さらに売上を伸ばすことも、処分場を売却することも意のまま。処分場拡張のための地域住民への説明会も開催していることが判明しており、準備は着々と整っていた。
地主、土地使用を認めず
柏田氏の乗っ取り計画で最後に残されたハードルは別法人「大和」としての処分場の土地使用許諾。和幸商会での使用許諾はあるが、別会社でのものはなく、新たに土地所有者との合意が必要だった。現所有者は(株)ニチド(大阪市、上島稔代表)。関係者によると、ニチドの代表は最近になって一連の乗っ取りの真相を知ったといい、それまで柏田氏からは真実とは程遠い話を聞かされていたことがわかったそうだ。「自分も乗っ取りに加担しているではないか」――大きな責任を感じたニチドの代表は、事業譲渡先「大和」での土地使用を認めるつもりはないという。
乗っ取り行為の発端は昨年11月にまで遡る。廃棄物受入容量の限界に近づきつつあった同処分場に、拡張の可能性をもち込んだ柏田清光氏が主導し、壮大な乗っ取り計画が進んでいった。今年に入り、柏田氏ら乗っ取り経営陣は意に反する役員や株主を、取締役会や株主総会議事録の偽造により排除。和幸商会への処理費用を柏田氏が実質運営する「(株)盛大」に振り込ませるという都合の良い処理を繰り返していた。
【東城 洋平】
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