いま問われる突破力!~野党共闘の行方は~(後)
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自公(とくに自民党)の選挙時の政策ははっきりしている
小沢 先ほど、植草先生がご指摘されましたように、政策をはっきりさせることが何よりも重要です。2009年衆院選の民主党勝利は「国民の生活が第一」という政策がわかり易く、はっきりしていたからです。しかしその後の展開のなかで、民主党政権の政策・主張が曖昧になり、国民の信頼を失いました。
自公(とくに自民党)の選挙時の政策は、ある意味とてもわかり易くはっきりしています。しかし、いざ選挙が終わってしまうと、「“やる”と言ったことはやらないし、“やらない”と言ったことはどんどん推進します」、このことはすでに多くの国民の皆さまがご存知の通りです。それでも、政権を維持しています。悪いことを見習えとはいえませんが、その自公が相手であることを、野党の方々も、もう少ししっかり認識する必要があります。
共産党を含めた連携ですが、安全保障、憲法、原発、消費税などにおいては、細かい部分を除けば一致させることが十分可能です。政策の細部に入り、大きな塊を壊してしまうより、「みんなで大同団結して頑張らなければ、政治を糾すことはできない」ということを念頭に置き、みんなで歩み寄る姿勢が大切であると思います。政権を取る、天下を狙うためには、政党としても、個人としても、自分を捨てなければ、ダメだと思います。目先の自分の欲ばかりを主張すると、まとまらなくなってしまいます。
「共産党の票はいらない」と公言する人もいると思いますが、本音のところでいえば、自分に賛同してくれる人であれば党を超えて票は欲しいのです。各野党のリーダーの人たちは、このことを強く認識して共闘態勢をとる必要があります。自民党は、平和でも、福祉でも、今まで主張してきたことがまったく異なる公明党と組み、今では多くの自民党議員が公明党の票無しでは当選できなくなっています。
日本に議会制民主主義を定着させることが私の究極の目標です。そのためには、もう一度、政権交代を実現しなければならないと思っています。民主党政権には、期待が大きかっただけに、失望も大きかったと思います。しかし、国民の皆さまは自分の手で、政権を交代させるという経験を積んだわけです。これはとても大きな意味をもっています。現状を悲観的に見るのではなく、もう一度、国民の皆さまの力を貸してほしいと思っています。
消費税増税は、法人税・所得税減税の為でしかなかった
植草 共産党を含む連携が何らかのかたちができれば、展望も大きく開けると思います。自公には公明党がいて、その票があって当選できる議員もたくさんいます。また、先の衆院選で、立憲民主党は大きく票を伸ばしましたが、その多くは共産党が応援してくれた選挙区であることが判っています。
話は変わりますが、先に「消費税」の問題が出ました。私は消費税導入後の日本の税収の構造を調べてみて、そこに驚くべき事実を発見しています。1989年に消費税は導入され、当時の導入理由は「財政再建、社会保障拡充のため」ということになっています。そこで、国民の側も「日本の財政が破綻したら大変、社会保障がなくなったら大変」と理解しました。ところが、その実態は大きく異なっていました。
【驚くべく事実】
1989年度の税収は約55兆円ありました。そして2016年の税収も約55兆円です。この27年間の数字を見ると、税収は約55兆円でほとんど変わらず、法人税が9兆円減り、所得税が4兆円減って、消費税だけが14兆円増えています。つまり、消費税の増税は、財政再建や社会保障拡充のためではなく、ひたすら大企業などの法人税減税と所得税減税の為だったことが判明しています。この間、大企業には、300兆円、400兆円といった膨大な内部留保が積み上がっています。つまり、国民は財務省や政府が流す情報に騙されて。真実を知らずに重税だけを被せられてきたことになります。来年は消費税が10%になると言われています。安倍政権が6年も続いて、「国民の生活が台無し」になりました。来年の参院選において、このことは非常に重要な争点になると思います。
種子を自家採取できなくなるという改革が進んでいる
植草 最後に農業や地方創生に関する話題に触れたいと思います。小沢先生は2009年の衆院選で、地方を含めて全国的に大勝しました。来年の参院選でも、農家、地方創生をしっかりケアしていく必要があると思います。それは、安倍政権になってから、種子法を廃止し、種苗法の運用を変えて、種子を自家採取できなくなるという、許しがたい「改革」が進んでいるからです。農協も解体され、国民から見て、食の安全・安心からどんどん遠ざかって行きます。私は、国家がはたすべき第一の使命は国民を餓えさせないこと、そして安全なものを食べさせることである、と考えています。国家安全保障の要は食料にあります。この点はいかがでしょうか。
国家が独占している種々の権限も移譲すべきだと思う
小沢 当然、大きな争点になると思います。ようやく、農家の方々も「これはひどい!」と気づき始めました。食の安全を確保するために、農業・漁業などはとても大事です。日本の食料を外国にすべて依存することはできません。また、地方創生に関していえば、地方に若者が定着する必要があります。そのためには、教育、文化、娯楽などを充実させないといけません。最終的には、地方自治体への紐付きの「補助金」を廃止して、そのお金をまるごと、各自治体が自らの意思とプランで自由に使える「自主財源」として交付すべきと思います。
同時に、国家が独占している種々の権限も移譲すべきだと思います。それにより、地方独自の地域政策を実施することができます。このことが実現できれば、地場産業の新興、教育、文化などの充実も可能です。その結果、地方に今まで以上に、雇用の機会が多くなり、若者が定着し、超高齢化の問題も解決することができるようになります。ただ、今はその過渡期にありますので、並行して、年金、子ども手当(嫁手当なども)、さまざまな直接的なサポートが必要と考えています。
(了)
【金木 亮憲】
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