韓国の国民食「ラーメン」(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
意外に思われるかもしれないが、韓国でラーメンというと、インスタントラーメンのことを指す。ラーメンほど韓国の庶民に愛され続けた食品はそれほど多くはないだろう。安く、お湯を沸かすだけで簡単に調理できるという手軽さがヒットの要因であることは間違いない。
インスタントラーメンはキムチと相性が良い。キムチは欠かせないし、食べ終わった後、残ったスープにご飯を混ぜて食べるのも、韓国人のインスタントラーメンの楽しみ方の1つとなっている。
インスタントラーメンは日本で生まれて韓国に入ってきたが、1人あたりの消費量は、韓国のほうが日本より多く、世界でダントツ1位になっている。参考までにインスタントラーメンの1人あたり年間消費量は、韓国が70.9食で、日本は43.6食となっている(2015年統計)。日本生まれのインスタントラーメンは、韓国だけでなく、世界各国で愛され、すでに国際食の地位を確立している。
インスタントラーメンは、日清食品の創業者である安藤百福が、1958年に「チキンラーメン」を発売したことが、最初だとされている。韓国では、その5年後の1963年に、インスタントラーメンが発売される。筆者は、その当時小学生だったが、朝鮮戦争後で、食べ物などがあまりなく、貧しい時代だった。そのような状況下で発売されたので、インスタントラーメンは主食の代用食として韓国で定着していく。
韓国で発売された最初のラーメンは、「三養(サムヤン)ラーメン」だ。三養ラーメンを生産した三養食品は、日本の明星食品から無償で製法を教えてもらい、インスタントラーメンの製造を開始したという。「三養ラーメン」は発売以来20年以上インスタントラーメンの王座を維持していたが、1987年に「安城(アンソン)湯麺」に1位の座を明け渡すことになる。ところが、その数年後、次の王座に就いたのは、日本でも有名な「辛ラーメン」だ。「辛ラーメン」はそれ以来、ずっと王座の地位を守り続けている。韓国のインスタントラーメンの歴史上、王座についたのは上記の3つしかない。韓国のラーメンは激辛麺が多いのが特徴だが、現在は味も多彩になり、名前を全部覚えるのが困難なほど商品数が増えている。
それでは、韓国のインスタントラーメン市場の動向を紹介しよう。国内のインスタントラーメンの市場規模は2016年の2兆400億ウォンから、昨年は1兆9,900億ウォンへと2.4%縮小している。現在、インスタントラーメンの国内市場は飽和状態で、競争が激化している反面、輸出が大幅に増加している。インスタントラーメン各社は国内シェアの維持に努めながら、輸出に力を入れている。市場が減少に転じた理由として、1人世帯の増加と、ラーメン以外のインスタント食品が、多くなってきたことが挙げられる。韓国ナンバーワンスーパーのイーマートでは、インスタントラーメン全体の売上高が5.9%減少している反面、ほかのインスタント食品の売上高は逆に37.4%増加している。
(つづく)
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