韓国食品の代表格「キムチ」(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
キムチの韓国国内市場を調べてみよう。統計によると、昨年国内のキムチ市場規模は、1兆3,946億ウォンであった。このなかで業務用市場は9,793億ウォン、スーパーやコンビニなどで販売される家庭用市場は2,931億ウォンとなっている。とくに家庭用キムチ市場は現在のキムチ市場全体の21%ほどを占めている。家庭用キムチの市場規模はさらに成長し、今年は3,663億ウォンになることが見込まれている。
17年の市場規模は、15年の市場規模に比べ、たった2年で、35.7%成長している。一人暮らしや共稼ぎ夫婦が増加しているのが、家庭用キムチの需要増の要因に挙げられる。韓国では、家庭用キムチ市場で、「ゾンガジプ」というブランドが過去30年間ずっと1位の座を守り続けている。この不動の1位に最近挑戦状をたたきつけた企業がある。CJ第一製糖の「ビビゴキムチ」である。ビビゴキムチは1位との差を急激に縮めながら、シェアを伸ばしつつある。
それでは、キムチの海外市場はどのような状況だろうか。海外でのキムチ人気は芳しくない。今年上半期の輸出実績は前年同期対比で0.9%伸長したに過ぎない。キムチの主要輸出国である日本での不振が響いているようだ。ところが、イギリス、オランダなどのヨーロッパの国々への輸出は18.2%増加している。輸出先が増えることは良いことだが、それが今までの市場を穴埋めできるかどうかはまだわからない。
韓国関税庁の統計によると、2017年のキムチ輸入量は約27万6000トン。そのうち99%は中国からの輸入となっている。一方、韓国産キムチの輸出量は約2万4000トンとなっている。韓国のキムチの輸出量は、輸入量の10分の1にも満たない水準であることが明らかになった。このような状況に韓国政府は2022年までに韓国キムチの世界市場シェアを70%にまで高めるという計画をうちたてた。国内市場では、キムチ市場を活性化させるために、消費者がキムチを食べなくても、キムチの味が判断できるような「味の基準」を設けようとしている。すなわち、キムチの味と品質にランク付けをして、消費者が購入しやすくしようとしているのだ。
ナトリウム、カプサイシンの含量と酸度などにより、激辛、酸っぱい味、しょっぱい味を3~5ランクに分けて表示させるという方針である。
しかし、若者のキムチ離れ以上に深刻な現象は、韓国に中国の安いキムチが輸入され、国内市場に打撃を与えていることだ。中国産キムチの輸入量は昨年25万トンで、史上最高記録を更新している。
中国産キムチは韓国の飲食店などで供給され、飲食店の70%以上は中国産キムチを使っているとされている。このようになった背景には、韓国産キムチは10キロあたり2万ウォン以上であるのに対し、中国産のキムチは8千ウォン~1万2千ウォンで、価格が2分1以下だということがある。
飲食店などでは、採算を取るために中国産キムチに頼らざるを得ない状況のようだ。韓国で生まれたキムチが中国産キムチに地位を奪われ、苦境に陥るという懸念が危惧に終わることを祈ってやまない。(了)
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