九州地銀の株価から見える経営統合の行方を検証する
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難航していたふくおかFGと十八銀行の経営統合が承認された。
経営統合の経緯について
◆ふくおかFGと十八銀行は16年2月26日、経営統合することで基本合意書を締結したと発表し、以下のスケジュールを示した。
・2016年8月 両社取締役会で決議し、最終契約を締結
・2016年12月 臨時株主総会
・2017年4月1日 株式交換効力発生日(経営統合日)
・2018年4月 十八銀行と親和銀行の合併【表1】を見ていただきたい。ふくおかFG(以下FFG)と十八銀行が経営統合を発表した前後の株価の推移表である。
<この表から見えるもの>
◆経営統合を発表した2016年2月26日のFFGの株価は前日比▲7円の352円。29日は前日比+6円の358円となり、市場はこの経営統合に前向きな反応を示している。
一方、十八銀行の当日の株価は前日比+25円の255円と大きく上昇しているが、29日は▲2円の253円となっており、十八銀行の情報管理の甘さが伺えるようだ。◆しかし公正取引委員会が独禁法上の問題を提起したことから、FFGと十八銀行は17年1月20日、統合時期を10月1日まで半年延期すると発表。プレス発表後の1月23日のFFGの株価は前日比▲8円の500円。十八銀行の株価も前日比▲2円の352円と下げている。
◆その半年後の17年7月25日、競争がなくなると懸念する公取委の審査をクリアできなかったため、経営統合を再延期(無期延期)すると発表。すると翌26日のFFGの株価は前日比+7円の528円と上昇。一方、十八銀行の株価は前日と変わらず294円のままだった。市場は無理して十八銀行と経営統合しないほうが良いのではないかとの評価をしたようだ。
◆しかしFFGおよび十八銀行の経営陣は経営統合が失敗すると責任を問われることになる。そのため打開策として、長崎県内に店舗をもつ地銀を中心に肩代わりを要請。他行も前向きに引き受け、その債権譲渡額は1,000億円弱となり、中小企業向け貸出シェアは約75%から約65%まで低下。それを受けて公取委は8月24日、統合後も長崎県内の健全な競争環境は保てると判断し、経営統合を2年遅れで承認した。
・午後の発表を受けて市場は好感し、FFGの株価は前日比+14円の606円(2.36%増)に上昇。じり貧状態だった十八銀行の株価は前日比+25円の350円(7.69%増)と大幅な上昇となり、その流れが期末まで続くことになった。【表2】を見ていただきたい。九州地銀の18年9月末の株価が18年3月末と比較して、どれだけ増減したかの増減率順位表である。
<この表から見えるもの>
◆増加率トップは十八銀行で41.6%。2位はふくおかFGとなっている。その要因は難航していたFFGと十八銀行の経営統合を公取委が承認したことによる。◆3位は西日本FHで6.5%。以下大分銀行5.4%、九州FG2.7%と続き、8位の佐賀銀行までがプラスで推移している。
・福岡中央銀行、山口FG、筑邦銀行までが▲5%以下で、12位の豊和銀行の株価は▲8.1%、ラストは宮崎太陽銀行で▲8.9%となっている。日経平均株価が順調に上昇しているのに対して、地銀の株価が低迷しているのがわかる。市場はFFGと十八銀行の経営統合が承認されたのを受けて、全国の地銀に経営統合を催促しているように見える。九州地銀の経営統合はFFG、西日本FHおよび九州FGを中心に進められることになりそうだ。【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】
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