2024年12月24日( 火 )

「人は宝」を徹底し、高い定着率を実現(前)

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(株)ヒューマンライフ

波乱を乗り越え人間尊重の経営に徹する

▲(株)ヒューマンライフ
 中山 英敬 社長

 業種を問わず、働き手不足が深刻化している。よく耳にするのが、募集をかけても問い合わせがないという会社経営者や人事担当者の声だ。それに加え、すぐ辞める人が多くて困っているという嘆息も聞く。そんななか、「人は宝」という理念を徹底して追求し、人材定着率の高さを誇っている会社がある。福岡市博多区に本社を置く(株)ヒューマンライフだ。

 同社は健康食品販売会社のコールセンター代行業を営む。たとえば、A社という健康食品会社の顧客から問い合わせや注文があった場合、A社に代わって応対する仕事だ。受信業務だけで、売上のノルマなどはない。

 スタッフはパートを入れて165名。中山英敬社長以下、全員が日本一のコールセンターだと自認する。ここでいう日本一とは会社の規模ではなく、応対がすばらしく、優しい気持ちや思いやりが伝わってくる質の高さで日本一だということだ。揺るぎない自信がそういわせている。

 「私が会社を起こして20年。日本一のコールセンターを目指すと当初から目標を掲げていましたが、順調だったわけではなく、クレームの山という時期もありました。スタッフが2カ月で40名も辞めていくというピンチも経験しています。でも、スタッフの気持ちや悩みに耳を傾けるなどして人間尊重を心がけ、会社をつくり直すつもりで経営にあたったところ、スタッフの定着率が上がり、全国のお客さまからも応対に感動したという声が毎日寄せられるようになりました。おかげさまで、クライアントからも大変喜んでもらっています」(中山社長)。

社長自ら1人ひとりとコミュニケーション

 感動的な応対を実現するには、スタッフに気持ちのゆとりがなければ不可能だろう。そのゆとりは、充実した仕事と充実したプライベートがなければ生まれないはずだ。だから、同社は基本理念として「Let’s live a full life(充実した人生を実現しよう)」を掲げている。

 では、充実した人生はどうやったら可能になるのか。もちろんお金も必要だが、それ以上に必要なのは心の充足だろう。それを得るための1つの手がかりとして、中山社長はスタッフ1人ひとりと面談し、悩みや個人的な事情を個別に把握している。

 「仕事もプライベートも関係なく、いろいろな話をします。すると、スタッフや会社が抱えている問題点が見えてきます。たとえば、親の介護という問題。弊社では介護に直面しているスタッフが数名いますが、彼女らには介護を1人で抱え込んで付きっ切りになるのではなく、短時間でもいいから会社に出てくるようチームリーダーから伝えさせています。付きっ切りになると共倒れになる可能性もあるからです。だから、孤立しないためにも出てきなさいとすすめるのですが、会社に出てくると、そのスタッフはお客さまとの会話のなかで自分を取り戻したかのように生き生きした表情になります。また、リーダーを始め、ほかのスタッフが相談に乗って手を差し伸べたりもしています」。

 介護はほんの一例だが、同社では仕事もプライベートも助け合うという風土ができ上がっているようだ。そういう点も心にゆとりをもたらしているのだろう。「商品を買っていただき、ありがとうございます」ではなく、顧客からこんな良い人・商品と出会えてありがとうと感謝されるのだという。

 「顧客満足を追求するのが弊社の仕事ですから、感謝されると仕事が楽しくなる。喜んでもらうことで、スタッフの心も豊かになります」。

(つづく)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:中山 英敬
所在地:福岡市博多区博多駅東2-17-5 アークビル
設 立:1998年1月
資本金:1,000万円
TEL:092-482-8500
URL:https://www.human-life.co.jp

<プロフィール>
中山 英敬(なかやま・ひでたか)

 1957年、福岡県田川市生まれ。大学中退後、地場の大手企業に入社。98年に独立し(株)ヒューマンライフを創業する。2011年、福岡県中小企業家同友会代表理事に就任。17年、中小企業家同友会全国協議会の幹事長となり、中小企業経営者を多方面からサポートしている。

(後)

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