世界文化遺産登録の国史跡「原城跡」を勝手に改造!~南島原市長が謝罪
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関係者に激震!
世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産である国史跡「原城跡」の一部を無断で改造した件で、5日、松本政博南島原市長が関係者に謝罪していたことがわかった。
今年5月、南島原市は、「原城跡」の二の丸の約300m2を工事用車両の資材積み替え場にするために砂利を敷き、以後、観光客が駐車場として利用していた。
5日朝、西日本新聞がこの実態をスクープ。報道を受けて、同日午後に開催された長崎県の世界遺産保存活用協議会の冒頭で松本市長は謝罪。同協議会の会長である中村法道長崎県知事は、南島原市の法令順守の不備を注意した。
国史跡である「原城跡」は、文化財保護法に基づき、現状変更を行う場合、文化庁に許可を申請しなければならなかった。もっとも申請されたからといって、容易に許可が下りることはなかった。世界文化遺産の登録の可否を審議する直前に、構成資産の一部を改造することになるからだ。
「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、推薦内容の不備から、16年に日本政府の推薦が一度取り下げられ、構成資産を再検討し、今年7月の登録に至った難産の経緯もある。南島原市の無断改造を知って憤慨する関係者は少なくはないだろう。
「原城跡」は、島原の乱(島原・天草一揆)の主戦場跡であり、キリシタンが潜伏するきっかけとなった重要な史跡。審査前に地元行政によって無断改造されていたとなれば、日本政府の推薦自体にも疑問符が付く。
現在も楽観視できる状況ではない。登録された世界遺産が形状を変えたために抹消されたケースがある。関係者の頭をよぎったのはドイツの「ドレスデン・エルゲ渓谷」。世界文化遺産は、景観の維持が義務付けられており、登録後、新しい橋が架けられたドレスデン・エルベ渓谷は、2009年に登録を抹消された。
文化庁の担当者は、「早急に復旧するため、世界文化遺産の登録抹消には影響しない」と話す。しかし、意味もわからず、世界遺産かつ国史跡の一部に砂利を敷くような地元行政が、現状の回復を想定した準備をしているはずがない。本当に“元通り”となるかは甚だ疑問だ。
【山下 康太】
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