2024年12月22日( 日 )

私はコレでパチンコ屋を辞めました 元ホール経営者が語る廃業のワケ(前)

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 ホール業者の倒産が増えているなか、店舗だけでなく、事業そのものを売却し、パチンコ業界から撤退する業者も少なくはない。九州では、2017年11月、地域トップレベルの大規模店舗「P-ZONE」14店舗を運営していた(株)パラダイスが、関東および東北エリアで「D’STATION」を40店舗以上展開するNEXUS(株)に株式を売却し、話題となった。市場縮小や規制強化などによる業況の変化に対し、ホール経営はどのように行われ、どのような理由で事業撤退や廃業が決断されるのか。最近まで、ホール経営に携わっていた人物を取材した。

市場縮小のなかで増大する設備投資コスト

 ――ホール事業を辞めた理由とは。

 元ホール経営者X(以下、X) ここ数年、ずっと減収が続いていた。加えて、機械代の高騰による設備投資費の増大も大きかった。15年間で1.5~2倍ぐらいにはなっていた。

 ――台の仕組みが複雑になったことで高騰化したのか。

 X それもあるが、市場縮小にともなう販売台数の減少に対し、売上を維持するために販売価格が上がったという面もある。1円パチンコなど低貸スタイルの隆盛もあって販売台数が減った。
 業界における商品を卸す側であり、メーカーの立場は強い。フレッシュな商品であれば客付きは良くなるし、質の高い商品があればホール経営の流れも良い方向に変わっていく。

 ――不人気機種との“抱き合わせ商法”はあったか。

 X ホールは、新台入替をしなければ営業成績が上がらないという現実がある。抱き合わせがあっても嫌とはいえない。

 ――転売で利益を出すホールもあると聞く。

 X 販売数が減っているため、導入段階で評価が上がり、中古価格が高騰化する機種がある。それを欲しがるホールは確実にいる。また、昔に比べて数は減ったとはいえ、新店やリニューアルでは新台は必須だ。

 ――小規模ホールが絶滅した。

 X 会社の規模に関係なく、店舗が大型化した。平米あたりのパチンコ人口が減っているため、広域集客による経営効率化は避けられない。小規模店舗に比べると出店コストは上がるが、その反面、ランニングコストが良い。

 ――いわゆる「パチンコ離れ」を実感していたか。

 X 数字(業績)を見れば一目瞭然。うちが辞めたのは、いくら機械が高騰していても、やはり設備産業である以上、温泉施設やホテルと一緒で、新しくてキレイな店舗が客から好まれるという現実があり、機械だけでなく設備にも金をかけなければいけなかったからだ。資金を調達する必要も出てくる。そうした努力に見合うか、と考えた時に、これ以上は突っ込めない、もう潮時だと感じた。

 ――「潮時」というのは。

 X 市場が縮小しているとはいえ、まだホール事業を続けていこうというパチンコ経営の“プレーヤー”は多い。つまり、今なら自分の店舗を売却する際に買い手がいるということだ。

(つづく)
【聞き手・文:山下 康太】

(後)

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