「新卒一括採用」の見直しが意味するもの
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経団連は10月9日、2021年春以降入社となる新卒の就職・採用活動のルールを策定しないことを正式に決めました。現在の大学2年生からは、1953年に始まった「就職協定」から続いてきた、就職・採用活動の目安が廃止されることになります。今後は政府主導でのルールづくりが検討されており、21年春入社は現行ルールが維持される方針です。長年にわたって続いてきた「新卒一括採用」が変わろうとしています。
もともと日本の「新卒一括採用」は世界的に見れば、極めて特殊な制度でした。海外では通年採用が一般的であり、企業が欲しい人材を選ぶスタイルです。日本の場合は、まとめて採用した新入社員を一斉に教育するのが合理的とされてきました。この背景には、労働集約型産業では同質のスキルをもつ人材が多く必要であること、また大学が学問の場所か、社会に出るための実践的なスキルを身に着ける場所か、といった考え方の違いがあります。しかしグローバル化の進展による時代の変化から、日本も変革を余儀なくされているのです。近年は大学側も実践的なビジネスリーダーを育てる意識が高まっており、企業との共同研究などが盛んに行われるようになってきました。
日本は就職や採用活動に関して、世界的な視点で見れば学校も企業も「ガラパゴス化」していました。先進国と新興国の差が縮まり、新たな中産階級が大量に創出されていくなかで、企業は必然的に国境を越えグローバル化しました。その波に乗り遅れた日本は、アメリカ、中国のグローバル企業に大きく後れをとってしまいました。グローバル化の反動として保護主義が台頭していますが、国外の市場が拡大していくなかで企業が後戻りすることはありません。
「新卒一括採用」の見直しは単なる制度変更ではなく、世界的な潮流のなかでの変化であることを理解し、変わりゆく就職市場に対応していく必要があるのです。
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