2024年12月24日( 火 )

自民党「統合医療研究」~医療モデルと社会モデルの観点から普及推進(前)

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 自民党が政策課題として掲げている「統合医療の推進」は、治療手段の統合化にとどまらず、医療・福祉・地域コミュニティを含めた広義の意味での統合医療の役割を見据えたものといえる。その背景には国家税収に匹敵するまでに膨れ上がった社会保障負担への危機感もある。ここでは統合医療をめぐる、これまでの自民党の動きをまとめた。

統合医療推進の経緯

鴨下一郎衆議院議員「フォトアーカイブ」より

 自民党が統合医療を研究し始めたのは13年前の2005年2月。当時の民主党と公明党に呼びかけ、3党で「統合医療を実現する議員の会」を旗揚げした。この時は厚生労働族議員からの協力が得られず、政策課題として制度設計を描くまでには至らなかった。10年11月には、尾辻元厚労相を会長とする「統合医療推進議員懇談会」が発足。11年12月まで8回にわたり勉強会を行った。懇談会のとりまとめでは、統合医療を推進する担当部署の設置と予算化、統合医療実現の法案化などが盛り込まれていた。

 また、12年2月には、懇談会を引き継ぐかたちで「統合医療プロジェクトチーム」(座長:橋本聖子参議院議員)が発足。日本統合医療学会と交流を深めるなどして統合医療の推進策を練り上げた。さらに、同プロジェクトチームの活動は、13年11月の「統合医療推進議員連盟」(会長:鴨下一郎衆議院議員)発足へとつながった。議連が15年3月にとりまとめた報告書では、担当部署の設置や研究予算を求める内容が明記されている。

 この間、自民党は12年暮の総選挙のマニフェストのなかに、「生活の質(QOL)を高める統合医療の推進」を掲げ、現代西洋医学に伝統医学や各種健康法を組み合わせることで、より効果的で安全性が高く、心のケアにも重点を置いた患者中心の医療を目指すことを明記。さらに、厚労省に統合医療の研究機関を設置することや、各種健康法の安全性と有効性の調査・研究を推進して、その情報を公開するなどの推進策を盛り込んでいた。

 こうした動きに前後して厚労省は、12年3月から「統合医療のあり方に関する検討会」をスタート。5回の検討会を踏まえて13年2月に、「これまでの議論の整理について」とする報告書をとりまとめている。

 報告書では、統合医療に関する科学的知見の集積を図り、公的機関と連携して情報を、インターネットなどを介して提供する仕組みづくりが必要」と指摘。これを受けて厚労省は14年3月にウェブ上に「統合医療」情報発信サイトを開設した。

(つづく)
【取材・文・構成:吉村 敏】

(後)

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