2024年11月29日( 金 )

冒険投資家ジム・ロジャーズの中国戦略(前編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2018年11月9日付の記事を紹介する。


 世界が注目する投資家の中でも行動派の代表格といえば、ジョージ・ソロス氏とともに「クォンタム・ファンド」を立ち上げ、10年間で4000%を超える驚異的なリターンを実現したジム・ロジャーズ氏であろう。ウォール街では伝説的な人物であり、37歳で現役引退した後、冒険家として活躍してきた。バイクによる初の6大陸世界横断、ベンツでの世界116カ国走破は、いずれもギネスブックに認定されているほど。走行距離は25万kmに達する。

 自らの経験をもとに、各国の長期的な経済成長の流れを読み、投資にいかす手法を編み出し、「冒険投資家」の名を欲しいままにしている。2018年、75歳を迎えたが、相変わらず世界を飛び回る毎日だ。実に行動力あふれるヘッジファンドのヒーローといえよう。自らの名前を冠した「ロジャーズ・インターナショナル・コモディティーズ・インデックス(RICI)」には同氏の知見が散りばめられている。

 そんな先読みの天才投資家だが、こと日本や中国の未来についてはジョージ・ソロス氏と似た点もあれば、まったく異なる点もあり、実に興味深い限りである。日本にも頻繁に足を運び、新宿の歌舞伎町が大のお気に入りだ。そんな好奇心の塊のようなロジャーズ氏は筆者の日本やアジアの未来に関する質問に次のように答えている。

 「日本はまだ豊かです。しかし、将来は中国の時代になるでしょう。これは歴史のサイクルといえるもの。中国は長い歴史の中で、世界に覇をとなえた時もあれば、植民地化された時もあります。成功と失敗の両極端を歩んできた国です。19世紀後半から20世紀は、中国にとって悲惨な時代でした。今、その流れが大きく変わろうとしているのです。これから中国は豊かになるでしょう。間違いありません」。

 要は、かつてフランスの皇帝ナポレオンが「中国は眠れる巨人で、目覚めれば世界を震撼とさせるに違いない」と予言したように、1978年に鄧小平が蒔いた改革開放政策の種が実を結ぶ時期が近づいているというわけだ。確かにたった30年で日本を抜き、40年目にはアメリカにも肉薄する経済大国に変貌した中国のバイタリティは世界を驚かせている。

 とはいえ、中国のバブル崩壊を危惧する声には根強いものがある。この点を尋ねると、ロジャーズ氏の見方は明快だった。曰く「中国を覆う貧富の差や地域間の格差の拡大を懸念する声は承知しています。ご指摘の点は確かでしょう。しかし、そんなことは、どこの国でも起こりうること。遅かれ早かれ、中国経済は調整局面に入るはず。しかし、それはさらなる飛躍への踏み台のようなもの。日本でも似たような経験を積み重ねてきたはず。混乱もあるでしょうが、アメリカだって過去200年以上の間に15回を超える不況を経験しています。日本も同様でしょう。中国はハードランディングによって、かえって国際化がスムーズに進むと見ています」。

※続きは11月9日のメルマガ版「冒険投資家ジム・ロジャーズの中国戦略(前編)」で。


著者:浜田和幸
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