九州地銀の2019年3月期 第2四半期(中間期)決算を検証する(2)
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日銀は2%のインフレ目標を早期に達成するため、2016年1月29日、ゼロ金利政策からマイナス金利政策の採用を発表し、2月16日より実行された。これは民間銀行の日銀当座預金にある超過準備に対して-0.1%のマイナス金利を課すものである。3年近く続くマイナス金利政策の影響はボディブローのように効き、九州地銀(18行)は厳しい経営状況に陥っている。
【表1】九州地銀のFG・FHの当期純利益順位表を見ていただきたい。※クリックで拡大
この表から見えるもの
◆当期純利益の第1位はふくおかFGで、前年比▲7億円の272億円(▲2.5%)。2位は西日本FHで、前年比3億円増の127億円(2.4%増)。3位は九州FGで前年比▲6億円の121億円(▲4.7%)。
・西日本FHと九州FGを足しても248億円で、ふくおかFGにおよばない。一強二弱の収益力が続いている。来年4月、ふくおかFGと十八銀行は経営統合することになっており、その格差はさらに拡大することになりそうだ。
・参考までに掲載している北九州銀行を傘下にもつ山口FGは前期比▲57億円の130億円(▲30.5%)と大きく減益となっているのがわかる。
ただこの18年9月期決算を公表するまで、ふくおかFG、西日本FHおよび九州FGがいろいろな工夫しているようだ。【表2】を見ていただきたい。※クリックで拡大
この表から見えるもの
◆ふくおかFG傘下の2行が貸出金を大きく増加させている。親和銀行は前期比+2,016億円、熊本銀行は前期比+1,519億円。しかし利ザヤが薄く、すぐには収益に結びつかないため、両行は有価証券を売却して益出している。
・福岡銀行と親和銀行は、それぞれが譲渡性預金を取り込んで、総預金残高が前期比マイナスとならないように、調整しているのがわかる。
◆西日本シティ銀行の有価証券は前期比▲864億円の1兆4,702億円となっており、株式売却益を計上して、当期純利益の底上げを図っている。
・また長崎銀行は、預金が前期比わずか7億円の増加。大きくオーバーローンとなるため、譲渡性預金40億円受け入れるとともに、18年3月期は、短資業者を通じて他行から260億円のマネーを取っていたが、18年9月期は西日本シティ銀行から調達し、経費の社外流失を防いでいる。
◆九州FG傘下の肥後銀行と鹿児島銀行も、有価証券を売却し益出しをしている。とくに肥後銀行の有価証券は前期比▲1,089億円の1兆3,362 億円となっており、収益環境が厳しくなっている状況が読み取れる。
・また肥後銀行と鹿児島銀行は貸出金を大きく増加させているものの、預金が集まらず、両行とも譲渡性預金を取り込んでいる。とくに肥後銀行は、前期比+1,029億円の2,126億円と倍増させているが、総預金は前期比▲579億円の4兆6,361億円となっている。
まとめ
改めて、ふくおかFG、西日本FHおよび九州FGでも厳しい収益環境にあることがわかる。日銀の進めるマイナス金利政策が地銀の収益に大きな影響を与えており、九州地銀18行のすべてが、通期予想通りの収益目標を達成することは、厳しいのではないだろうか。
(つづく)
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