サムスンバイオロジクスによる粉飾会計の真実は?(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
サムスンバイオエピスは設立以来、毎年赤字を計上していた。2015年にサムスンバイオロジクスは当時90.7%の株式を保有していたサムスンバイオエピスを、子会社から支配力の弱い関係会社へと変更する。
会計基準変更によって、関係会社の価値は帳簿価格ではなく、時価で計上されるようになり、サムスンバイオロジクスが保有している関係会社の価値は、3,300億ウォンから4兆8,000憶ウォンに跳ね上がった。それと同時に、赤字続きだったサムスンバイオロジクスが2015年、当期純利益1兆9,049憶ウォンを計上した。
会計基準を変更するには明確な根拠が必要になるが、証券先物委員会は、サムスンの会計基準変更の主張を認めていない。同委員会は、2015年から急に会計基準を変更するのは納得できないとしているのだ。
サムスンは「エピスに対してバイオジェンはコールオプションをもっており、それが間もなく行使される予定なので、サムスンが支配力をもっているわけではない。だから、関係会社に変更するのは適切である」と主張している。
しかし、2015年は後継者への引き継ぎ問題をめぐって第一毛織とサムスン物産の合併があった年で、会計基準の変更との関連が疑われている。第一毛織とサムスン物産の合併は、李副会長が後継者になるために重要な合併だった。しかし李副会長は、サムスン物産の株をあまり持っておらず、主に第一毛織の株を多く持っていた。
李副会長のグループにおける支配力を高めるためには、サムスン物産より、第一毛織の価値が高くなる必要があったし、第一毛織の価値を上げるためには、サムスンバイオロジクスの価値を上げる必要があった。会計基準の変更によって、サムスンバイオロジクスの価値が上がり、その価値を根拠に第一毛織の価値が上がったわけである。
当時、第一毛織とサムスン物産の合併比率は1:0.35だった。第一毛織はサムスン物産より価値が3倍高いということである。ところが、サムスン物産の大株主である国民年金が反対すると、この案は成立しない。普通なら国民年金は、合併に反対したかもしれない。そこで国民年金が、この案に賛成するように李副会長が朴前大統領に賄賂を渡したとして裁判にかけられている。
もし、巷で言われているように李副会長の持分を上げるための方法として、会計基準の変更が実施されたと立証されれば、大きな波紋を呼ぶのは間違いない。
現在、サムスンバイオロジクスは上場廃止が審査されており、株式市場での取引が中止されている。サムスングループの未来をかけた事業なので、期待した個人投資家も多かったことだろう。粉飾会計の判定によって、今後の韓国経済に与える影響も大きく変わってくるものと思われる。
(了)
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