流通業界の2018年を振り返る(1)~イズミ、セブン&アイHDと業務提携
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イズミとセブン&アイ・ホールディングスの業務提携は4月上旬に開かれたセブン&アイの決算説明会で飛び出した。この種の提携発表では付きものの、相手側であるイズミ関係者の姿はなく、説明したのもセブンの井坂隆一社長ではなく、イトーヨーカ堂創業家出身の伊藤順朗取締役常務執行役員だった。
プレスリリースには、提携内容として仕入れの統合や輸入品、地域産品の共同調達、電子マネーの相互開放、プライベートブランド(PB)の共同開発、相手グループ企業への出店など10項目近くが挙げられていた。だが、目新しいのはヨーカドー福山店の営業譲渡くらい。電子マネーはすでにセブンの「nanaco」(ナナコ)がゆめタウンで利用でき、相手グループ店への出店もセブン傘下のアカチャンホンポがゆめタウンに出店済み。仕入れの統合やPBの共同開発の具体化はこれからで、現実的には難しい。
提携はイズミから持ちかけたといわれる。山西義政会長は、ヨーカ堂創業者でセブン名誉会長・伊藤雅俊氏と創業以来の付き合い。提携はセブンの鈴木敏文会長が退任し、ヨーカ堂創業家の影響力が増したことから浮上したのは間違いない。
イズミの狙いは、山西会長の孫・山西大輔氏(40)の時代に備え、有力な後ろ盾を確保することにあったと思われる。足元の業績は好調だが、将来どうなるかわからない。いざという時に助っ人がいれば心強い。
コンビニを除くと西日本にほとんど店舗のないセブンにも、同盟軍のいるメリットがある。
提携のもう1つの狙い。それはイズミ包囲網を敷くイオンへの対抗だ。イオンは10月フジと資本業務提携、中四国のゆめタウンをすっぽり包み込む陣形を敷いた。フジはいずれマックスバリュ西日本と経営統合する噂も流れる。
(つづく)
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