ソフトバンク(株)が上場記者会見
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ソフトバンク(株)は19日午後3時半ごろ、上場記者会見を行い、会見には宮内謙社長のほか、宮川潤一副社長が同席した。会見の冒頭では宮内社長が改めて通信障害の発生について謝罪し、今後は通信事業、新規事業の両輪でさらなる成長を遂げると話した。会見後の質疑応答では、上場初日の株価下落を踏まえてのコメントに注目が集まった。
会見の冒頭で宮内社長は、12月6日に発生した通信障害の件に触れ、「お客さまに多大なご迷惑をおかけしたことを深くお詫びするとともに、このような事象の発生を深く受け止め、今後は再発防止策の徹底を図り、サービスの安定的な運用に向けて全力を上げて取り組みます」と話した。
会見の前半では、宮内社長により、上場を果たせたことに対する喜びとともに、同社のこれまでの振り返りと、今後の成長戦略についての発表が行われた。宮内氏は同社がパラダイムを経て発展してきたことや、企業を束ねながら再生、リターンを経て進化してきたことに触れ、「さまざまな逆境、逆風に対して、我々自身が練磨して歩んできた」と強調。今後は通信事業、新規事業の両輪でさらなる成長をしていくとし、国内通信事業に関しては、顧客基盤の拡大・強化、新規事業に関してはソフトバンクグループがもつプラットフォームを活用することで、国内外問わず最先端のビジネスモデルで成功を収めている企業と提携し、事業を展開していくとの方針を語った。
業績予想については従来通りの姿勢を崩さず、「試練はいっぱいあると思うが、『逆風に強いソフトバンク魂』をもって事業に取り組みたい」と締めくくった。
後半は宮川副社長による通信障害に関する発表が行われた。宮川副社長は宮内社長と同じく冒頭で、「弊社通信障害により多くのお客さまに多大なるご迷惑、御無礼をおかけしたことを深くお詫びいたします。事態を重く受け止め、今後は再発防止の徹底、ネットワークの安定的な運用に取り組みます。このたびは大変申し訳ございませんでした」と述べ、深く頭を下げた。
通信障害の原因については、「LTE交換機のソフトウェア不具合」だったと説明。さらには、通信障害発生から原因が特定されるまでにおよそ2時間、その後の復旧作業完了に2時間近くを要したことも、改めて発表された。
宮川副社長によると、(1)西日本と東日本にある2つのセンターに設置されているLTE交換機を含む「コア設備」に不具合が発生(2)通常は残りのコア設備がサポートする仕組みだが、今回はすべてのコア設備が一斉ダウン(3)コア設備が一斉ダウンしたため3Gへのアクセスが集中し、「輻輳(ふくそう)」と呼ばれる症状が発生(4)3Gネットワークが高負荷状態に陥り、一時的に利用しずらい状況が続いた、とのことだった。 LTE交換機障害の原因については、「TLS証明書の有効期限切れが一斉に起こった」とのこと。これについては証明書のバージョンダウンを行うことで復旧を行ったとのことだった。
今回の通信障害を受け、同社は暫定対策と恒久対策によって今後の再発防止策を講じるとした。暫定対策としては、(1)商用設備における証明書の有効期限を総点検(2)ラボ試験における未来日動作確認の実行(3)旧ソフトウェアによる緊急立ち上げ手順の時間短縮化を図るとしている。
(1)については、最重要とされる設備の点検は12月11日までに完了しており、残りの設備については年内中の完了を予定しているとのこと。(2)については、3、5、7、10年後における動作確認の実行を行うとしている。(3)については、今回の復旧作業に2時間近くを要したことを踏まえ、時間短縮のためのツールを作成中としている。
恒久対策としては、(1)証明書の確認・更新を可能とするソフトウェアの切替(2)システムアーキテクチャの見直し(3)交換機のマルチベンダー化を行うとしている。(1)については、新しい事業分野への参入を見越し、自社で証明書の有効期限の確認と更新できる仕組みを構築するとし、2019年1月31日までに全台数に導入予定としている、(2)については、開発ベンダーと協議の上、システムが停止しない構造へ変更するとのことだ。 (3)については、現在現在4つのベンダーを使用しているが、「エリクソンに頼りすぎていた」と説明。今後は西と東でマルチベンダー化を図り、東西合わせて18台あるものを10台以上追加するという。一見すると過剰投資とも思われるが、「今回の件を踏まえ、万が一に備えて一歩踏み込む」としている。
会見後は各社による質疑応答が行われた。上場のタイミングについて宮内社長は、「今回の上場はもともと9月か10月に行う予定だったが、諸事情により12月になった。その間、通信障害、ファーウェイ製品問題、日本政府のプレッシャーなどが起こったが、もともと計画していた内容であり、引き下がるつもりはなかった」とし、「厳しい環境下で船出することによって、我々自身が心を引き締め、新たな創業という気持ちでやっていこうと思った」と話した。
上場を再考するつもりはなかったのかという質問に対しては、「まったくありませんでした」と話した。 また、創業者である孫正義氏が今回の会見に同席していないことについては、「国内事業(通信事業、新規事業)については数年前から私に一任しているため。(孫氏には引き続き)会長としてすばらしいアイデアをいただいている」とした。
上場初日に株価が下落している点については「マーケットがどう反応されたのか真摯に受け止める。いずれにせよ、ここをスタート地点として企業価値向上に取り組んでいきたい。(公開価格1,500円という値付けについては)色々協議した結果。85%の配当成功、5%の配当利回りを示すことが重要ではないかとアドバイスがあり、1,500円という価格に決定した」と話すにとどまった。
【長谷川 大輔】
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