運輸安全委員会、関空連絡橋衝突事故の中間報告、事故防止対策を発表~走錨しないための方法は、「双錨泊」が基本
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9月4日に近畿地方を襲った台風21号による暴風の影響により、日之出海運(株)(福岡市博多区)が所有するタンカー「宝運丸」が関空連絡橋に衝突した事故(以下、本事故)で、国交省運輸安全委員会は20日、HP上で船舶事故調査の経過報告を発表した。事故調査の原因究明については、「なお時間を要する見込み」としつつ、「同種の事故の発生を防止する観点から、現時点で判明している本事故の概要や事故調査の経過、事実情報について公表した」としている。
経過報告書によると現在、本事故の調査については、主管調査官ほか3名の船舶事故調査官によって行われているとのこと。錨泊地については、関西空港海上保安航空基地のHP上に掲載されているリーフレットに、「関空島の岸壁から3マイル離した場所にしてください」と記載があるが、これについては、日之出海運(株)、運航会社である鶴見サンマリン(株)の担当者、ともに、「知らなかった」としている。また、錨泊の際に宝運丸の船長が、双錨泊ではなく単錨泊を選択した理由については、「2つの錨を使用すると風向きが変わった際に錨などが絡み、係駐力が減少するため」としている。
また、運輸安全委員会は、経過報告のほかにも、「非常に強い台風時の走錨による事故防止対策について(中間報告)」と題した資料を公表した。資料には本事故のほか、10月1日関東地方を通過した台風24号による強風の影響で、横浜市の大黒ふ頭沖に錨泊していた外国籍貨物船「MARINA(マリーナ)」が、走錨して川崎市扇島の護岸に衝突した事故の件に触れているが、「今回の大阪湾や東京湾には多くの船舶が錨泊しており、これらの船舶がどのように事故防止対策を講じたのかをまとめ、資料として作成したものである」としている。
本資料では、走錨しない為の方法として、(1)「双錨泊を基本」とすること(2)急速に変化する風向風速に応じ、走錨しないよう継続的に機関を使用すること(3)風下に重要施設が存在しない、他船と十分な距離を確保できる錨地を選定すること(4)最新の気象・海象情報を入手し、措置の実施に当たってはタイミングを適切にとらえることが極めて重要であるとしている。ただし、これらの方法はあくまでもガイドライン的なものであり、法的な拘束力はない(運輸安全委員会職員)とのことだ。
データ・マックスでは運輸安全委員会の発表を受け、日之出海運(株)の清水満雄社長に独占取材を行った。詳細は明日、報じる。
【長谷川 大輔】
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