2024年11月23日( 土 )

流通業界の2018年を振り返る(4)~西友売却説が浮上

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 2018年7月中旬、米ウォルマートが西友を売却するとメディアが一斉に報じた。ウォルマートと西友は直ちに否定したものの、複数の大手流通企業が売却をもち掛けられたことを証言した。ウォルマートは年初にも英国子会社アズダの株式の大半を同業大手に譲渡、同国から撤退を決めたばかりだった。

 その後、進展がないのは条件が折り合わず売却交渉が難航しているためと見られる。ウォルマートは売却額として3,000~5,000億円を提示したといわれる。西友の親会社であるウォルマート・ジャパンホールディングスの15年12月期末の純資産は3,639億円で、これが売却額の根拠になっていると思われる。

 流通大手でこれだけの買い物をできる企業は限られる。このうちイオンはダイエーで手いっぱい。セブン&アイホールディングス(HD)は総合スーパー(GMS)に興味がない。一時、ドンキホーテHDが関心を示したが、どこまで本気だったか疑わしく、ユニー買収で立ち消えになった。

 総合商社と投資ファンドは有力候補だが、商社の大勢は伊藤忠がユニーを売却したように、いまさらGMSでもあるまい、という態度だ。ファンドが買収しても出口戦略として流通企業の協力が欠かせない。

 考えられるケースは2つ。売却先が見当たらず、ずるずると現状をひきずるケース。もう1つは地域別に分社化しバラ売りする。九州は分離しやすい。この場合、イズミが関心を示す可能性がある。同社はすでに今年、西友のGMS2店を譲り受けた。ただ、これも条件次第となる。

 ウォルマートがよほどの好条件を出さない限り、引き受け手は現れそうにない。来年も現状のままかもしれない。

(つづく)

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