2024年11月29日( 金 )

子供を生む女性のいない国・日本最大の危機(前編)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2018年12月21日付の記事を紹介する。

 わが国は少子高齢化の影響もあり、人口が急速に減少している。海外からは「信じがたい縮小社会」「絶滅の危機に瀕する日本民族」とまで揶揄される有様だ。人口減少社会こそ日本にとって、戦後最大の国家的危機といえよう。

 2016年の年間出生数は約97万7,000人で、初めて100万人の大台を割った。戦後の第一次ベビーブーマーと呼ばれた1949年には約270万人が生まれており、70年ほどで新生児は3分の1に減少したことになる。

 危惧すべきは、今後も出生数が減り続けると予想されることだ。「日本創成会議」(座長・増田寛也元総務大臣)の人口推計によれば、「2040年には全国の半数にあたる896市町村で20~39歳の女性が5割以上減り、人口減の加速により現在の行政サービスは維持できなくなる」。国土交通省でも「全国の6割の地域で2050年には人口が半分以下になる」と公表。

 しかも、東京への人口集中が進んでいるとはいうものの、「都内でも豊島区、杉並区、足立区では20代と30代の女性が半減する」というから驚く。実は、人口の一極集中が進む東京都だが、すでに出生率では全国最低都市となっているのである。

 迫りくる危機の核心は何か。人口動態調査を見れば、わが国においては人口が急速に減少し、労働力不足や国力低下が歴然としているにもかかわらず、政府も国民も何ら効果的な対策を練ってこなかったことに尽きる。伝統的な家族主義は過去のものとなり、子育ての放棄や子供が親を殺害するような犯罪が連日のように報道されている。

 実際には日本の社会や経済にとって、これほど深刻な影響をもたらす現象はないのだが、「根拠なき楽観論」にどっぷりと浸かった国民の間では危機感も希薄で、政府における対策も手ぬるい現状が続いている。このまま人口減少が進むと、わが国の国家としての基盤が崩壊するのは時間の問題である。「無人国家」はあり得ない。早急な意識改革と具体的な人口確保政策が求められる所以であろう。

 思えば、2006年が日本の未来にとって、大きな転換点だった。その年、新生児の数が死亡者の数を下回ったのである。戦後の歴史において、人口減少が後戻りできない年として記録されたのだった。こうした人口縮小の流れが止まらなければ、30年を経ずして日本の人口は20%近く減少することになるのは確実だ。

 言い換えれば、世界最速のスピードで日本人は地球上から消滅するプロセスに突入したのである。海外からは「女性が子供を産まない」社会ではなく、「子供を産む女性がいない」社会になりかねないとの警告が頻繁に発せられている。しかし、どれだけの日本人がこの危機的状況を理解しているのだろうか。

※続きは12月21日のメルマガ版「子供を生む女性のいない国・日本最大の危機(前編)」で。


著者:浜田和幸
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