2024年11月23日( 土 )

創業の心を伝承、地場建設業として福岡の発展に貢献する(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

照栄建設 (株)

次世代の人材育成に向けて

リバレイン(福岡県糸島市)

 これまで以上に高い志で挑む同社にとって大切なことは、人材育成と次世代の人材の確保である。どの企業、業界も『人ありき』であり、とくに同社は人材への物心両面への投資を積極的に推進している。単なる就業条件だけでなく、社内コミュニケーションや教育面でのサポート、そして社内の現況を余すことなく開示し、相互理解を深めることである。

 「現在、社員は110名です。おかげさまで、社員の離職率は1%台です。離職する社員は、ほとんどいません。ちなみに女性の離職はゼロです。平均勤務年数が19年と比較的長く、20年以上勤務している人の割合は49・5%です。平均年齢は40歳で、20代〜30代が半数近くを占める構成です。在籍する社員の年齢も業界平均と比べて若い部類に入るのではないでしょうか」(冨永代表)と優れた人材マネジメントが行われている。

カーサ ディ ステラ(福岡市博多区)

 同社を訪問すると、社員一同が明るく、朗らかな雰囲気で仕事を進めている。それぞれの持ち味が発揮できる風土が醸成され、「みんなでつくり上げよう」とする気運で、各人がきめ細かなコミュニケーションをとって連携を図っている。

 「お客さま満足度をより高めよう」というベクトルで皆が常に一致していることが、社員が同社で長く仕事を続けられる要因の1つである。そして、同社独自の経営ハンドブックを作成し、社員全員で共有する。社員の評価を明確化・具体化し、仕事の心得など、仕事に取り組むためのガイドラインを明示している。そのガイドラインに沿った公明正大な人事考課を実践していることもつけ加えておく。

 次世代の人材確保においても同様で、仕事のやりがいを中心に新卒の学生との対話に臨む。「給与・賞与や休日など条件面についての話は一切しません。また、これまで弊社が手がけてきた工事実績の話もしません。さらに表面上の業績のことも言いません。それらを重視する学生たちは、大手志向が強く、そちらに進んだ方が良いでしょう。100億円台の事業規模の弊社が、業界大手に工事規模で勝ることはありません。私が大切にしているのはお互いが幸せになれるかどうかです」(冨永代表)と新卒採用について語る。

 「もちろん新卒の学生は、弊社のことを何も知らずに来られます。よって表面上だけの話をしても、お互いのことを理解できません。つまり、より現実に近いケースで対話を行うのです」(冨永代表)。

 たとえば前述した業績については、より深く、わかりやすく細かい数字を話す。売上高、利益、損益分岐点などを交えながら、その数字の詳細についてじっくり説明する。また、仕事のやりがいと厳しい現実の話などをすべてオープンにしたうえで語りかける。学生からの質問にも具体的に回答し、「照栄建設に入社して幸せになれるのか」を判断してもらっている。冨永代表が新卒採用に関わって以降、毎期5名の新卒者が入社している。この間の内定辞退者は「ゼロです」(冨永代表)とのこと。

 昨今の新卒候補者については、「スマートフォンの普及によってそれに依存する傾向が強まっています。その影響でコミュニケーション能力が低下している感が否めません。その時流は、我々には止めることができません。しかし建設業は、どの業界よりも人間的な色合いが濃い産業です。社内の人間やお客さまとの関係づくり。そして専門工事を行う職人さんとの対話。職人さんをいかに生かして、良い仕事をするかが求められます。新人が弊社で一人前になれるように、モチベーションと意欲を高め続けていけるよう教育をしていくことがリーダーの責任です」(冨永代表)。

 今後、ますます少子高齢化が進行する我が国。どの企業もそれに応じた事業構築を行っていくことが肝要だ。同社は、これからの時代の流れに即したマネジメントを実行するために、「人を集める」ことから「人が集う」風土へ進化させている。それは、新たな人材候補、社員、そして顧客を始めとしたステークホルダー全員が対象で、その企業風土をベースに福岡の街の発展に寄与していく。

(了)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:冨永 一幹
所在地:福岡市南区向新町2-5-16
設 立:1972年6月
資本金:7,000万円
TEL:092-566-1249
URL:http://www.shoei-k.com

<プロフィール>
冨永 一幹(とみなが・かずもと)

 1969年6月14日生まれ。福岡県春日市出身。福岡大学大学院人文科学研究科教育臨床心理学専攻修士課程修了。2005年4月に照栄建設(株)入社。07年7月取締役社長室長、16年4月総務部長を経て17年8月1日に代表取締役社長に就任。
 

(前)

関連キーワード

関連記事