事業を通じて資源の有効活用を提案、推進する(前)
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上内電気 (株)
景観環境を推進、高い企画提案力を有する老舗
上内電気(株)は、屋外照明灯、交通信号機事業、屋内照明事業の計画、設計、設置などを手がける安全景観環境整備会社である。一般の電気工事などを手がけることは少なく、あくまでも、官庁などの公共機関への事業提案を主力とする。そのため、同社は中央区舞鶴のマンション最上階に事務所を構え、一般の電気工事会社のような大規模な倉庫はもたない。同社は道路照明のエキスパートとして照明のLED化を積極的に推進し、省エネルギー化を進めてきた。同業他社と大きく異なるのは、道路照明をやみくもに新設することではなく、既存の設備の活用をどこよりも推進している点である。
40年を越える業歴をもつ同社を取り巻く環境が一変したのは2011年3月11日だ。東日本大震災の影響で津波が発生。福島第一原子力発電所における未曽有の原発事故が発生した。国内の原発は、ほぼ停止。安全神話に守られた原発に依存していた電力供給は火力発電に移行した。その年の夏は全国各地で電力不足が叫ばれ、計画停電も予定された。さらなる省エネルギーの見直しが求められたのだ。電量供給の観点では、消費電量を減らせば電力の負担は軽くなる。同社が手がける照明においては、省エネルギーの申し子といわれるLEDを推進していけば、さらに消費電力を抑えることができる。長年にわたり屋外照明や信号機などの企画提案などを中心にした照明事業に特化してきた自負はある。同社の企画提案力が求められる時がきたといえる。
水銀ランプの終焉、道路照明のLED化が加速
長年、道路照明は高効率の高圧ナトリウムランプやメタルハライドランプが採用されてきた(水俣条約対象外)。だが、同等の光源をもつLED照明(88W)と高圧ナトリウムランプ(285W)とを比較すると、LED照明は約70%の省エネとなる。しかも、高圧水銀蒸気ランプは、水銀とアルゴンを発光管内に封入し、高い圧力をかけた状態で放電することで発光するランプである。安価で寿命が長く、しかも、大光束を得られるため屋内外の施設照明や道路照明に利用されてきた。
だが、13年10月に行われた国連環境計画(UNEP)の外交会議で「水銀に関する水俣条約」が採択されたことにより20年以降、基準値以上の水銀含有量を有する器具の製造・輸出・輸入が原則禁止されることになった。
このため、同社では福岡県技術・新工法活用促進制度登録を申請し、取得。その新技術は(1)「既存灯具の再利用」(2)「産業廃棄物の発生を抑制」(3)「設計の意匠デザインの継承、視景観の維持」という3つの要素を備えている。要はランプ光源部分のみ交換を行うことで、既存の照明器具をそのまま使用できるため、製造コストや電気代の大幅削減が可能となり、年間の電気料金も削減できる。街の景観を生かし、資源の有効活用ができるということだ。この発想に至ったのは同社が長年、コスト圧縮と効率化を追い求めたからである。
(つづく)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:境 泰二郎
所在地:福岡市中央区舞鶴3-6-23
設 立:1976年4月
資本金:2,000万円
TEL:092-731-5581
URL:http://www.kamiuchi.com<プロフィール>
境 泰二郎(さかい・たいじろう)
1949年1月5日生。大牟田市出身。県立三池工業高校卒業。71年8月に個人創業し、76年4月に上内産業(株)として法人化。90年3月に現商号の上内電気(株)に変更した。趣味は水泳。関連キーワード
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