2024年11月13日( 水 )

知っておきたい「36協定」

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 皆さん、36(サブロク)協定ってご存知ですか?この36協定は「時間外労働や休日勤務に関する労使協定で、法定労働時間を超えて労働者を働かせられるようにするもの」です。逆に言えば、この協定なしに残業を行うことはできません。

 厚生労働省が2017年度に全国事業所を対象にした立ち入り検査を行ったところ、半数近くの事業所で違法な長時間労働がされているという結果が出ました。さらにその事業所の74%で1カ月あたりの残業時間が80時間超という事実が浮き彫りになりました。

 こうした実態を少しでも変えるため、2018年6月に成立した「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(働き方改革関連法)では、時間外労働の上限規制が設けられることとなりました。今年4月には、この働き方改革関連法が施行されます(中小企業は2020年4月施行)。企業は当然知っておかなければなりませんが、働く側も「36協定とは何か」を知っておく必要があります。

 36協定は労働者に時間外労働または休日労働をさせようとする場合に労使間で締結しなければならない協定のことで、正式には「時間外・休日労働に関する協定届」といいます。また、36というのは労働基準法第36条が根拠となっているため、36協定と呼ばれています。具体的には(1)労働者側の代表の決定(代表者は監督または管理の地位にない者でなければならない)、(2)協定の締結(主に時間外労働をさせる事由、業務の種類、労働者の数、1日または一定期間の延長労働時間、有効期間など)、(3)特別条項付き協定の締結(特別な事情により延長時間の限度を超えて労働させる場合に結ぶ必要あり)などがあります。

 現在、延長時間については、1カ月45時間、1年360時間という上限はありますが、「特別条項付き規定」では延長時間の上限が設けられていません。いうなれば青天井の状態です。それを見直そうというのが働き方改革関連法です。

 同法により、36協定に違反すると企業には、労基法119条が適用され、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられることとなります。しかし、実際には一度の突発的な違反行為で罰則行為が適用されることはほとんどありません。そのため、常態化する場合もあります。働く側はこういった知識をもって、企業側に改善を求めることも重要です。正しい知識をもったうえでより良い職場環境をお互いに構築していくことが大事だといえます。

 最後に働き方改革関連法で変更される点を簡単に説明します。(1)時間外労働の上限規制の導入(特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満、複数月平均80時間が限度)。(2)中小企業における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の見直し(月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%)について、中小企業への猶予措置を廃止する。2023年4月からは中小企業も50%の割増賃金を支払うことが義務化)。(3)一定日数の年次有給休暇の確実な取得(年次有給休暇を10日以上与えられている者に対して、毎年、時季を指定して5日間有給休暇を与えることが義務化)。以上の事柄は必ず覚えておきましょう。

36協定が締結されずに時間外労働が行われている原因は労働者が法令を知らない(出典:厚生労働省)
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