2024年11月25日( 月 )

100億円超の売上高を計上し続ける 強さの秘訣は『人づくり』にあり(後)

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照栄建設(株) 代表取締役社長 冨永 一幹 氏

福岡を代表する100億円企業

ヒューマインド筑紫丘公園

 ―御社の業績は堅調に推移していますね。
 冨永 弊社としましてはこれまで通り、地元福岡で賃貸・分譲マンション、戸建、商業施設の各分野の仕事に誠実に取り組んでいくことで、しっかりとした基盤を築いていくことを第一に活動していきます。この徹底が、業績にも反映されているのだと思います。

 もちろん、これから先を見据えた時に、新たな受注基盤の確保や、その実現に向けた動きというものは必要になってくるでしょうが・・・。

 ―よく聞かれるのが、20年の東京オリンピック以降をどうするのかという話です。
 冨永 オリンピック以降も、福岡の市場においては極端に景気が下がることはないだろうと思います。国際的なイベントでいえば世界水泳選手権2021福岡大会の開催が決定していますし、天神ビッグバンに代表されるように、MICE(国際会議)の開催増加に対応するかたちでのまちづくりもさらに進んでいくでしょう。また、福岡市が公表している将来推計人口では、35年まで人口は増加基調で推移するとの予測が出されています。当然、相応に住宅需要も生まれてくるでしょう。

 世帯数の減少によって住宅の需要が減り、不動産価値の下落を招くと言われた「2015年問題」というのがありましたが、蓋を開けてみれば福岡の市場ではいまだ住宅需要は旺盛です。先に申し上げた通り、マンションにしろ戸建にしろ、土地を見つけるのが難しいというのが現状です。

 オリンピック以降も、福岡の市場においては当分の間、活況が続くのではないでしょうか。

 ―財務体質も盤石なものとなった今、何に先行投資すべきでしょうか。
 冨永 間違いなく「人」です。例年、新卒採用で5名ほど入社していますが、皆貴重な戦力として育ってくれています。弊社の次代を担う人材として長く活躍してもらうためにも、アフターフォローにも気を付けています。

求められる役割

 ―人の定着を促すために必要なこととは何でしょう。
 冨永 教育だと思います。学校で教わってこなかったことを教えるのが社会であり、企業の役割ではないでしょうか。そしてそれは、一部の人間が行うだけでは駄目なのです。企業でいえば、全社員が意識しなければならない問題です。たとえば、会社を辞めるという決断を下した社員が出た際に、「次はすぐに見つかる」という意識でいるようではいけません。なぜそういう決断を下されてしまったのか、当人の気持ちを含め、理解するよう努めることも大切なのです。

 「我々の時代はこうだった」という人も少なくないでしょうが、私たちが活動しているのは現代なのです。会社を支えているのは社員1人ひとりであり、コミュニケーションを通じてしか相互理解を深めることはできません。これは、対社内だけではなく、建設現場を含む対社外でも同じです。教育を通じて、自分たちで人材を育てていくには時間も費用もかかりますが、そこを抜きに技術の継承はもちろんのこと、企業の存続は成り立たないのです。

 ―あらゆる世代が集うからこそ、多様な意見に耳を傾ける必要があるのですね。
 冨永 18年入社の社員はまだ1人も辞めていません。私は、ただ言いたいことを話すのではなく、若者たちに伝わるように話すことを心がけています。ドラマ「下町ロケット」を見ていない若者でも、話し方如何で内容に対して興味をもって面白がってくれます。昔も今も、その時代の良さというのがあります。ただ、それを生かせるかどうかは、伝え方次第といえるでしょう。

 人材を生かせるかどうかも同じです。現代では人の上に立ちたくないという人もいます。そういう人を生かすには、事業部の長に据えるのではない、別の活用法が求められます。技術も事業も、その承継には時間がかかります。費やした時間を無駄にしないためにも、1人ひとりと向き合うことが重要なのです。

 ―照栄建設の強固な組織力、その秘訣が垣間見えました。

(了)
【代 源太朗】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:冨永 一幹
所在地:福岡市南区向新町2-5-16
設 立:1972年6月
資本金:7,000万円
売上高:(18/5)147億2,955万円

<プロフィール>
冨永 一幹(とみなが・かずもと)

1969年6月14日生まれ。福岡県春日市出身。福岡大学大学院人文化学研究科教育臨床心理学専攻修士課程修了。2005年4月に照栄建設(株)入社。取締役社長室長、総務部長を経て17年8月1日に代表取締役社長に就任。
 

(中)

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