「大学が終わっていく」、立て看掲げた東洋大生(後)
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同大は1月23日、ホームページに今回の事件について声明を出した。「無許可の立て看板設置については下記のように、学生に配付し周知している『学生生活ハンドブック』に禁止行為として記され」とする一方、「一部ネットなどで散見されるような当該学生に対する退学処分の事実はありません」と記述する。
しかし、『東洋大学学生生活ハンドブック2018』は学則ではない。しかも、ここで引用されている「掲示物を学生生活担当窓口に届け出て、許可印を受けてから掲示してください。なお、立看板類は原則として禁止します。」(p.53)の文言は、学外者に対しての注意事項にも読める。
退学勧告は社会的反応の大きさに慌てた大学側が引っ込めたのかもしれないが、叱責中、本当に「退学」という言葉は使われなかったのか。筆者は同大に電話し、次の点を尋ねた。
(1)退学勧告について本人と大学側で食い違うが、「退学」を口にした事実はあるか。
(2)SNSの削除要請はされたか。
(3)今回の対応は大学の教育理念「多様な価値観を学習し理解するとともに、自己の哲学(人生観・世界観)をもつ人間を育成する」および「開かれた大学を目指す」に反しないか。
(4)竹中教授は学生からの批判をどう受け止めているか聞きたいので、次の出勤日を教えてほしい。電話に出た学生部の職員は広報課に回す。若い声の担当者は「ホームページを見てくれ」と繰り返すが、粘り強く食い下がると、(2)は「本人の今後を思いやって促したことはある」(3)は「答える立場にない」との返答。(4)に関しての竹中氏のコメントと(1)はわかり次第、電話で回答するよう求めると、了承された。
筆者は(3)についてのコメントを求めるため、同大井上円了研究センターに電話する。しかし、電話に出た女性は「一個人としてお答えする立場にない」の1点張り。「では責任者の方や教官を」と向けると、「広報課に回します」と一方的に保留にされる。
待つこと8分。出たのは案の定、先程の男性職員だった。筆者がセンターにかけた真意を告げると、「先程の質問ですが、メールでください」と別の要請をされる。筆者が「約束が違う」「こちらがセンターにかけた電話だ」と受け付けずにいると、そばにいる上司らしき者に逐一相談している。
男は急に言葉をはっきりさせ、「今回の記事は、個人のブログなどに載せるものですか」と聞いてきた。「そうだ」と答えると、「それならお答えできません」と自信ありげに宣告した。筆者が「じゃあ、『Net I・B News』というネットニュースサイトに載せます」と転換すると、「個別の案件については、お答えできません」と返る。いずれの場合も断る口実を用意した、結論ありきの稚拙な文例を与えられたのだろう。「では、どうすればお答えいただけますか」と続けると、「お答えできません」との言葉とともに電話は切られた。
G.オーウェルの二重言語を地で行く大学に、円了先生は泣いていることだろう。いや、「諸学の基礎は哲学にあり」を建学の精神に掲げながら低賃金奴隷推進教を布教していては、いずれ総国民を泣かせることになる。
(了)
<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)
1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。ブログ『高橋清隆の文書館』。関連キーワード
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