立て看事件の東洋大学、期限まで無回答
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東洋大学白山キャンパス(東京都文京区)で1月21日、「竹中平蔵教授による授業反対!」の立て看板を掲げ、ビラをまき始めた学生が同大学生部職員に連行され、2時間半にわたる脅迫を受けた事件で、当学生の同大4年、船橋秀人さん(22)が大学側に抗議文と公開質問状を提出していたが、期限の2月18日まで回答はなかった。
文書は「抗議と謝罪要求」「公開質問状」の2種類で、それぞれ竹村牧男・同大学長と同大理事会宛てに11日、簡易書留で投函された。1週間以内に本人にメールで回答するよう求めている。
20日午前10時現在、船橋さんにメールは届いていない。筆者の取材に対し、船橋さんは次のようにコメントをした。
「ご指導いただいた当日のお話や声明では、『憂慮している』と心配していたこともあり、僕としては回答いただけると思っていたので、非常に残念です。
一体、大学は誰のためにどのようなことのためにあるのでしょうか? 僕の願いは、ただ大学が本来の理念に則ったあり方を取り戻してほしいだけです。まったくもって彼らとの不和を望んでいません。
それなのに、抗議電話をした学外者向けには公式声明を公表していながら、れっきとした学生である僕からの声明には回答しないというのでは、大学は『ブランドイメージだけが重要であって、学生を大事にしません』と言っているようなものではないでしょうか?
僕の切なる思いが綴られた声明に、一刻も早く回答が欲しいです。大学は回答をしないということで、また1つ将来にわたる禍根を残すことになるでしょう」
筆者が電話で同大広報課に回答の意思を尋ねようとすると着信冒頭、「この会話は録音されています」のアナウンスが流れる。先回のやり取りを受け、導入されたのかもしれない。女性の受付が出ると、ホームページ上の「取材申込」フォームから用件を送るよう求められる。
筆者は次の文面を送信した。
- 4年生の船橋秀人君が2月11日に簡易書留郵便で発送された『抗議と謝罪要求』および『公開質問状』は1週間以内(18日まで)の大学側の回答を求めていたと思うが、まだ回答はされていないか。されていないとすれば、その理由は何か。
- 今後、回答をされるつもりはあるか。
以上2点、本日(20日)中にお答えいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
同日午後5時1分、次の回答があった。
「東洋大学広報課です。
ご質問いただきました件につきまして、
大変申し訳ございませんが、お答えいたしかねます。
悪しからずご了承いただきたく、お願い申し上げます。」実に素っ気ない回答である。文章の稚拙さはもとより、船橋さんに回答する意思があるのかどうかも確認できない。
叱責(しっせき)中、船橋さんに「退学勧告」を迫った大学側は事件2日後の1月23日、一転してホームページに「一部ネット等で散見されるような当該学生に対する退学処分の事実はありません」との告知を掲載し、退学勧告の事実を否定している。
さらに「一部ネットでは当該学生個人の特定や詮索などの書き込みも見受けられます。こうした個人情報の流布は、当該学生の将来への影響などに鑑(かんが)み、本学として大変憂慮しています」と、当学生への配慮を強調していた。
「憂慮している」のは所属学生でなく、大学のブランドイメージなのか。船橋さんのいうように肝心の学生に対し何ら説明がなければ、大学側はおためごかしとのそしりを免れないだろう。
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・「大学が終わっていく」、立て看掲げた東洋大生(前)<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)
1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。ブログ『高橋清隆の文書館』。関連キーワード
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