九州地銀の2019年3月期 第3四半期を検証する(6)
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【表1】を見ていただきたい。九州地銀18行の2019年12月期における「時価のあるその他有価証券」の含み益順位表である。連結と単体の差はいくらかあるものの、比較していくことにしたい。
<この表から見えるもの>
・第1位は福岡銀行で、時価合計2兆1,947億円に対して含み益は1,247億円。その内訳は株式の時価1,344億円に対し751億円。債券の時価1兆6,152億円に対し480億円。その他(外債など)4,449億円に対して15億円。
・2位は西日本シティ銀行で、時価合計1兆3,754億円に対して含み益は780億円。その内訳は株式の時価1,147億円に対し649億円。債券の時価8,605億円に対し68億円。その他の4,001億円に対して62億円。
・3位は鹿児島銀行で、時価合計8,157億円に対して含み益は471億円。その内訳は株式の時価724億円に対し265億円。債券の時価5,396億円に対し66億円。その他の2,036億円に対して139億円。
・4位は肥後銀行で、時価合計1兆2,844億円に対して含み益は366億円。その内訳は株式の時価469億円に対し201億円。債券の時価8,861億円に対し160億円。その他3,512億円に対して3億円で、同じ九州FG内では鹿児島銀行の含み益が上回っている。
・5位は佐賀銀行。赤字補てんのため47億円の株式売却益を計上したが、まだ232億円の含み益がある。6位は大分銀行で231億円。7位は親和銀行で200億円。ここまでが200億円以上の含み益がある銀行である。
・8位は北九州銀行で184億円。9位は十八銀行で173億円。10位は宮崎銀行で159億円。ここまでが含み益100億円以上の銀行である。
・11位の宮崎太陽銀行以下、含み益が少ないのがわかる。長崎銀行は西日本シティ銀行の子会社であるため外れており、17行の比較表となっている。
最下位の豊和銀行は時価の内訳を公表していないが、含み益は▲0.4億円となっており、厳しい経営状況にあることが読み取れる。
・含み益の比率が高いのは山口FG傘下の北九州銀行で56.3%。 時価327億円に対して180億円の株式含み益が要因となっている。【表2】を見ていただきたい。ふくおかFG・西日本FH・九州FG(3FG・FH)の含み益比較表である。
<この表から見えるもの>
・ふくおかFGの時価は3兆374億円で含み益は1,467億円(前年比▲480億円)。内訳を見ると株式の含み益は788億円(前年比▲380億円)。債券は663億円(前年比▲60億円)。その他は15億円。
銀行別で見ると、福岡銀行(連結)の含み益は1,247億円(前年比▲367億円)。親和銀行(単体)は200億円(前年比▲93億円)。熊本銀行(単体)は51億円(前年比▲22億円)となっており、福岡銀行が圧倒的な比率となっている。
・西日本FHの時価は1兆3,811億円で含み益は893億円(前年比▲381億円)。
・九州FGの時価は2兆1,020億円で含み益は517億円(前年比▲288億円)。銀行別で見ると、肥後銀行(単体)の含み益は366億円(前年比▲175億円)で、鹿児島銀行(単体)は471億円(前年比▲157億円)となっており、含み益では鹿児島銀行が上回っている。<まとめ>
【表1】、【表2】を見ると、3FG・FH(ふくおかFG・西日本FH・九州FG)が圧倒的に優位な立場にあるのがわかる。単独での地銀経営は厳しさを増しており、今後生き残りをかけて九州地銀の経営統合はこの3FG・FHを中心に進むことになりそうだ。(つづく)
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