2024年12月24日( 火 )

九州地銀の2019年3月期 第3四半期を検証する(7)

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【表1】を見ていただきたい。九州に本店がある3FG・FH(ふくおかFG・西日本FH・九州FG)と単独銀行との収益比較表である。

<この表から見えるもの>
◆九州地銀(18行)の18年12月期の当期純利益は前年比▲192億円の1,071億円(▲15.2%)。
・その内訳を見ると、ふくおかFGは前年比+31億円の449億円(7.6%増)。九州FGは前年比▲35億円の191億円(▲15.7%)で、西日本FHも前年比▲127億円の169億円(▲42.8%)。
・3FG・FHを除く単独銀行11行の当期純利益は前年比▲60億円の260億円(▲18.9%)となっている。
◆3FG・FHのシェア75.7%のうち、ふくおかFGのシェアは41.9%。一方、九州FGは17.9%、西日本FHは15.8%で両者を合わせたシェアは計33.7%。ふくおかFGだけがプラスに転じているが、今年4月に十八銀行との経営統合を予定しており、シェアを含め格差はさらに拡大するものと見られる。
・単独11行のシェアは24.3%と全体の1/4もなく、厳しい経営状況が続いているのがわかる。

【表2】を見ていただきたい。九州地銀の各県への支店配置と19年3月期の当期純利益の通期予想表である。

<この表から見えるもの>
◆銀行のホームページを見ると店舗の数を掲載しているが、この表は収益を生みだす預貸金の窓口の支店数である。
・支店の数が多い銀行は預貸金ボリュームが多く、収益力も高いのがわかる。半面、大分銀行は積極的に支店の統廃合を進めて効率化を図っているが、あたかも将来の経営統合を見据えての布石のようにも見えるのだ。
◆19年3月期の当期純利益予想表を見ると、福岡県では福岡銀行が503億円(シェア68.9%)。西日本シティ銀行は185億円(シェア25.3%)。以下、北九州銀行30億円(シェア4.1%)、筑邦銀行7億5千万円(シェア1.0%)、福岡中央銀行5億円(シェア0.7%)となっており、そのシェアは10%以下となっている。
・佐賀県における当期純利益予想における佐賀銀行のシェア91.2%に対して、佐賀共栄銀行は8.8%。長崎県では親和銀行55.3%、十八銀行43.0%.に対し長崎銀行は1.7%。鹿児島県では鹿児島銀行の93.0%に対し、南日本銀行は7.0%。以下、大分県の豊和銀行は6.2%、宮崎県の宮崎太陽銀行は7.1%と、いずれも10%を切っている。ただ、熊本県だけは肥後銀行の81.1%に対して、ふくおかFG傘下の熊本銀行が18.9%と健闘しているのがわかる。
◆第一地銀も、第二地銀と同様に単独では生きていけない厳しい経営状況となっており、経営統合することが急務となってきているようだ。

【表3】を見ていただきたい。九州地銀(18行)のトップの経歴である。

<この表から見えるもの>
◆銀行の経営統合がうまくいくかどうかはトップ同士の信頼関係にある。第一地銀であるか。第二地銀であるかも「類は類を呼ぶ」の諺があるように、大きな要素の一つでもある。
・佐賀銀行は72支店のうち、佐賀県内の37支店で半分以下となっている。福岡県内には31支店もありそのウエイトが高いのがわかる。

<まとめ>
◆私見ではあるが、九州地銀の経営統合を大胆に予想して見ることにしたい。
・第一地銀の宮崎銀行は鹿児島銀行と競合するよりも、九州FGの傘下入ったほうがメリットは大きい。また佐賀銀行と筑邦銀行はふくおかFGと経営統合すれば支店の統合が必定となるが、九州FGと経営統合すれば、支店閉鎖することなく生き残ることができる。
・大分銀行は福岡県内には5支店と少なく、ふくおかFGとの経営統合を選択したほうが、経営基盤が安定すると見られる。
・第二地銀の佐賀共栄銀行、豊和銀行、宮崎太陽銀行、南日本銀行の4行の経営基盤は弱く、第二地銀だった西日本シティ銀行との経営統合がベストの選択である。西日本FHのトップはいずれも大蔵省出身者であり、当局とのつながり深いからだ。
 ただ、西日本FHとの経営統合を望む第二地銀のトップに、「西日本FHの会長兼西日本シティ銀行の会長でもある久保田勇夫会長の目に余る専横が続いており、今経営統合を申し込めば、長崎銀行のように100%子会社にされるよ」との警鐘を鳴らす声があり、躊躇しているとの話が伝わってくる。第二地銀にとってはまさに、時間との戦いとなっているという。
いずれにせよ、九州地銀の経営環境は厳しさ増しており、3FG・FHを核とする経営統合が今後急速に進むことになりそうだ。

表1 ※クリックで拡大
表2 ※クリックで拡大
表3 ※クリックで拡大

(了)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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