2024年12月27日( 金 )

「職員は恥ずかしくないのか」、東洋大前で反竹中デモ(後)

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演説する黒川さん
(2019.2.22、東洋大前で筆者撮影)

 警官と膨れた聴衆に囲まれる中、黒川さんがマイクを取る。「我々は法律を犯しているわけではないので、続けます。近所の住民の方、迷惑されている方もいらっしゃると思いますが、竹中平蔵が生きていることによって何千万人の人たちが迷惑している」と抗弁すると、「そうだ」「行け」と歓声が沸く。

 さらに「2001年からの小泉構造改革で、小泉(純一郎元首相)と竹中が日本を壊し始め、その流れを安倍晋三が引き継いだ。この20年で庶民の暮らしはどうなったか。給与はどんどん下がり、今20代の6割が貯蓄ゼロ。少子高齢化なんだったら、若い世代にお金を回しましょうよ。誰がお年寄りを面倒見るんですか。そのお金を全部外国にもっていく。すごいな、竹中平蔵!」と褒め殺した。

 人垣の一番外に、男子学生が2人立っていた。文学部の2年生だという。立て看事件を知っているかと聞くと、「大学のホームページで見た」と答える。船橋さんの行動について「自分でおかしいと思ったことを主張するのは悪いことじゃない」と評する一方、大学の対応については「間違っていないと思う」と話した。

 筆者が「退学をちらつかせて恫喝したと本人は話している」と向けると、「そうなんですか。それはどうか……」と首をかしげる。竹中教授への評価を求めると、「よく知らない」と返る。

 労働者派遣法の改正で4割近くが非正規雇用の現状をつくったことや、私企業の役員を務めながら政府の諮問会議で派遣法改正や入管法改正、農業改革などを提案して自分の企業に利益誘導していることを説明すると、「そうなんですか。今回の騒動があって調べれば良かったが、今、こうやって説明されるまで、知らなかった。そんな方だとは思わなかった」と驚いた表情を見せる。ただし、続けて「大学が講師にしたことについて、僕の一意見でいえることではない」と評価をためらった。

集まった聴衆を前に、スピーチと演奏が続く
(2019.2.22、東洋大前で筆者撮影)

 退勤する40代の教員(自称准教授)に事件への感想を求めると、「事実がわかってないので、簡単にコメントできない。我々もその件については、あまり知らされてない」と打ち明けた。立て看の設置については「まあ、表現の自由ですよね。いいんじゃないですか。内容によると思うが」と補足した。

 兵庫県加古川市から、このためにきた54歳の主婦もいた。「本当におかしいから、いても立ってもいられなくなって。人でなしが大学教授になってしまう世の中がおかしい。大学も、政治も」と吐露した。船橋さんの行動については「かっこいいと思う。1人で」と賞賛する。

 大学側が期限の11日までに回答していないことについては、「それで、済むと思ってるんじゃないか。何もなかったように。大人の感じで。今、みんなそうですよね。政府の(毎月勤労)統計も。悪いことしても、時間がたてば、国民は忘れてしまうだろうと」と批判した。

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<プロフィール>
高橋 清隆(たかはし・きよたか)

1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)。ブログ『高橋清隆の文書館』。

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