人々を幸福にするプラットフォームへ 次世代のための新事業「Pando」(3)
(株)クインテット 代表取締役 松下 耕三 氏
学生への普及拡大
―まだコミュニケーションがアナログだった世代からすれば、今の子どもたちはコミュニケーションの考え方からして全然違うのかもしれませんね。しかし、もはやSNSがない状況に戻すことが不可能というなかで、あえてネットのなかに活路を見出していこうという取り組みのように感じます。
松下 時代の流れとは逆行している面もあります。ビジネスのセオリーとして、流れに乗ることが事業を成立させる要件だと思いますが、お金を稼ぐというよりは、この世の中に必要なものをつくるということを重要視して、今組み立てている段階です。少し事業化という面では苦戦しているところもありますが…。
―まさに“挑戦”ですね。さて、「Pando」は今後どのような進化を見せていきますか。
松下 今はまだ基本的な機能しかできていませんが、今年の春から夏くらいにかけて、EC機能やクラウドファンディングの機能、課金機能などを使えるようにしていきたいと考えています。また、上半期くらいには、スマートフォンアプリを各クライアントに安価で提供できるようにもなります。
また、「Pando」の普及に向けていくつかの作戦がありますが、その1つとして、学生に基本無料で提供して、サークルや研究室などいろいろな学生活動を充実させるために使ってもらおうと考えています。将来的には、頑張っている学生を応援する企業が広告を出すカタチで学生に収入が入る仕組みをつくっていこうかと思っています。
昨今、安くても1人70万円くらいの手数料を払って採用するという状況下で、弊社では新卒採用に力を入れており、今年4月に9人の新卒が入社いたします。この弊社の経験に基づき、採用の面でも「Pando」がお役に立てればと思っています。
やはり職場は、誰もが全力で取り組める場所でなければなりません。それが、豊かな人生の出発点になると私は思っています。「プロ野球選手になりたい」と思って野球を始めた人は、結構きつい練習でも頑張ります。なんとなく、人から勧められたから始めたというのでは、頑張る度合いが違います。これは仕事でも同じで、この仕事に就きたいとか、この社長の下で働きたいとか、このエンジニアの下で働いてみたいといった志望動機が必要だと思います。
このように考えてもらうための情報が不足しているから、紹介会社に勧められるまま、とりあえず説明会に行き面接を受けるだけで仕事を決めてしまい、頑張ることができずにすぐ辞めてしまう。そういうサイクルができつつあるのではないでしょうか。まずは「Pando」を利用する企業を増やしていかなければなりませんが、学生が「Pando」を使いながら仕事の探し方を習得することで、企業と学生のより良いマッチングにつなげていくということも事業化の1つのポイントです。
(つづく)
【聞き手・構成:山下 康太】
<COMPANY INFORMATION>
代 表:松下 耕三
所在地:東京都新宿区市谷本村町2-10
設 立:2003年12月
資本金:1,620万円
URL: http://pando.life/qwintet
<プロフィール>
松下 耕三(まつした・こうぞう)
1977年、福岡県生まれ。東京大学理科二類(農学部)に進学、大学卒業後の2003年、(有)TRCを設立。05年(株)クインテット設立し、代表取締役となる。18年からは新たなビジネスプラットフォーム事業を推進する。